転章Ⅱ
私は正直、転生したこの世界が嫌いだ。とてもイライラする。
前世にあった文明的なものがほとんどないという現状がまずがっかりだし、それ以前に、何も考えないで生きているようにみえる人達をみると、残念な気持ちになる
ガリガリ村にいた頃は、何も考えず、工夫もせずただ流れに任せて生きている村人をみて、嫌気がさしそうだったけれど、だからこそ私が役に立つ、親に認めてもらえる、愛してもらえると思って、頑張った。きっと、私が彼らに人間らしい生活を教えるために転生したんだな、と思うぐらい調子にも乗っていた。
でも売られた。そのときの私はどうしても親に愛されてみたくて、愛されるための努力を惜しんでなかったから、すごいショックだった。
少し時間をおくと、別に親なんていらないや、とふてくされて、私も流れのままにとりあえず生きることにした。
そんなときに、アランやカインに出会った。
かわいそうな子たちだと思った。
私はなんだか、彼らを哀れむことで、優越感にも似た今まで味わったことのない感覚が生まれていた。
そんな彼らと過ごすうちに、調子に乗った私はかわいそうな彼らを救ってあげようと思うようになった。最初、それはとっても温かい感情のように思えた。
でも、今思えば、優越感に似た私の心の汚い部分の上に成り立っていた嘘の優しさだったんだ。
だから私が欲しかったものを彼らが手に入れて、私と違って、幸せそうに微笑む姿をみて、後悔した。
彼らは私とは違うんだと思いしった。
本当に自分勝手だとは思うけれど、彼らを嫌いになりそうだった。
そもそも私は嫌いなものばかりだ。この世界は嫌いだけれど、だからといって、前世の世界が好きだったわけでもない。
前世で、当然のように親に愛されている人達をみるととてもイライラしていた。
だって、何もしてないのに! 当然のような顔で愛されている!
そのためにこんなに頑張っている私をあざ笑っているように見えた。
今思えば、前世の私は、プライドだけは一人前で、勉強して、一番になって、周りのみんなを嘲笑い返すような態度をとって、自分を守っていた。みんな嫌いだった。
アランやカインがそんな前世の人達と重なって、彼らが私を嘲笑っているような気さえして・・・・・・そんなことはないと分かっているのに、どうしても。
あの二人のことは好きだ。それも間違いじゃない。でも、今の私は、ただ好きってだけの気持ちでいられない。きっといつか必ず彼らを傷つけてしまう気がした。
こんなことを考えてしまう私はきっと悪い子なんだろう。
そしてこんなに悪い子だから親に売られて、山賊に捕まってしまうような罰がくだったのかも。
でも、このまま、こんなよくわからない世界で、翻弄されるだけなんて癪にさわる。私って、本当に、プライドだけは一人前なんだもの。
短いので本日もう一話更新します。
あと、日間ランキング一位ということで、ありがとうございます!
すごくびっくりして恐れおののいております。
きっとリョウちゃんは前世の癖が抜けていないのか、何事においても一番を狙ってくるスタンスなんだなと思って心を落ち着かせます。
皆様本当にありがとうございました。









