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転生少女の履歴書  作者: 唐澤和希/鳥好きのピスタチオ
第一部 転生少女の幼少期
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農村編③ー初めての川辺デビュー-

 焦りの中、がんばって、なんと私は8ヶ月頃で、言葉を操り、歩行まで成し遂げました。おめでとうわたし。


 ただ、歩くのは、頭が重いので油断するとこけるから注意。バランスが大事バランスが・・・。

 言葉もちょっと舌足らず。でも歯が生えてきてから、ちゃんと伝わるように話が出来るようになったので、使用上は問題なさそうです。


 そして生まれてから1年過ぎたころ、私は満を持して、外に行こうとしている兄の背中に向かって、声をかけた。

 「シュウにいちゃん、わたしもおにいちゃんとお外にいきたい」

  金髪でガリガリの子供であるシュウ兄ちゃんは、現在4歳。まだ労働力になっていないので、他の子供たちと出かけ、遊びながら薪とかを拾ってきたり、水を汲んできたりしている。私もそのチームの一員に入れてほしい!

 

 「えー。リョウちゃんはむりだよー。すぐにつかれちゃうよー」


 シュウ兄ちゃんは鼻くそほじりながら、すごい嫌そうな顔をした。

 こいつ! 私とあなたで「シュウ☆リョウ」コンビなんだから優しくしてよね!


 まあ、実際、シュウ兄ちゃんの言ったとおりなので、何もいえない。確かに歩けるが、体力は無い。まだ生まれて間もない私だもの。


 

「別にいいよ。もしリョウちゃんが疲れたら、俺が負ぶって行けばいいもん。な、リョウちゃん、お外にいこうか」

 と、天から暖かな言葉が降ってきた。

 な、なんと言う天使! この後光きらめく天使的児童はマル兄ちゃん7歳。ガリガリなのにあんたはすごい!

 私とシュウ兄ちゃんの会話を聞いていたマル兄ちゃんが助け舟を出してくれたので、私は目をキラキラさせながら、うなずいた。


「じゃあ、お母さん! 今日はリョウちゃんも連れて行くからね。行ってくる!」

 すでに畑仕事をしているお母さんに向かって、シュウ兄ちゃんが声をかけて、私たち「終わりの三兄妹トリオ」は意気揚々と出かけたのだった。


 そして村の子供たちと合流して、川辺についた。大体人数は15人ぐらい。年少は私、次いで、鼻たれ小僧のシュウ兄ちゃん。大体7歳から9歳ぐらいの子が多かった。私が来る前の最年少はシュウ兄ちゃんだったようだ。いつも大体この川の周辺で遊んだりするらしい。


 ちなみに私は、家を出てすぐに体力の限界が来たので、既にマル兄ちゃんに負ぶわれています。てへぺろ。

 シュウ兄ちゃんが、だから言ったじゃ無いかよ、という顔をしながら鼻をほじっているが、知らん振り。へへ、ここまできちまえばこっちのもんですわ!


 村の子供たちは、新メンバーである私を見つけて、興味津々という感じで、寄ってきた。

 何歳?もうしゃべれるの?すげー。うちの弟なんてぜんぜんだよ。などなど、各々、感想を言って、私の小さいかわいらしいお手手などを触っています。

 うふふ、小さくてかわいかろう。赤ちゃんらしい丸さは無いが・・・。私もガリガリ村の一員です。

 

 ていうか、みんなガリガリだな。もしかしたらこのガリガリ村はガリガリでないと入村できないのだろうか。

 

 こんな近くに川があるんだから、魚を取ればいいんじゃないかな? 山際の村だから、山菜なども有りそうだし・・・。

 もっと栄養摂取していこうよ!


「ねー、みんなは、ここでなにをするの? おさかなつかまえたりしないの?」


 私は素朴な疑問を投げつけた。しかし、周りの子達は一瞬きょとんとした顔をして、そして盛大に笑い出した。


「むりだよー。川の中は深いところもあってあぶないし、魚ってすばしっこいし、つかんでもつるつるって滑っちゃうし、捕まえられないよー。リョウちゃんは面白いこというねー」


 何で私こんなに笑われているのだろうか。いや、別に素手で捕まえるなんて思ってないよ! 網とか、釣り糸とか道具を使って捕まえようと思ってるよ!


「なにかどうぐとか・・・ないの?」

「あるわけないよー。道具は畑のものしかないよー」


 そういって、目の前の女の子ちゃんたちは「ねーーー!」と言い合った。

 ええ! ねーって、かわいいけどさー、別に簡単な道具なら作ればいいんじゃないのかい? 村長直伝の魚とりの道具とかないの? 村長誰か知らんけど。


「たくさんつかまえるようなすごいものじゃなくて、かんたんなものをつくればいいんじゃ、ない、かな・・・?」


 私は恐る恐る聞いてみた。

 だって、さっきから質問するたびに笑われてるんだもん! これだから赤ちゃんは何もわかってないわねー、みたいな様子で!

 言っとくけれど、精神年齢は私のほうが上なんだからね! 見た目は赤ちゃん、頭脳は大人のすごいやつよ、私!


 そして私が恐る恐るした質問に、案の定、村の子供たちは大笑いした。

 ・・・不登校、いや、不登川辺になりそう。


「あはは! すごいよー! どうぐ作るなんて、すごいよー! リョウちゃんは魔法使いになりたいんだね? すごーい」


 完全に馬鹿にされている、何、魔法使いて。別になりたくないしー。そんなこと言ってないしー! 馬鹿じゃないのー! ・・・いじけちゃうぞ!


 ちょっと不機嫌な顔をした私を見かねたのか、マル兄ちゃんが私の頭をぽんぽんしてくれた。ありがとうマル兄ちゃん。ありがとう、その優しさが涙腺にくるよ、ぐすん。


「リョウちゃんはまだ生まれて1年ぐらいだから、あまりいじめないでよ。・・・それとね、昨日村長さんに聞いたんだけど、もうすぐ魔法使い様が村に来るらしいよ!」

 

 と、優しいマル兄ちゃんからの衝撃の一言。

何、魔法使い様て。お兄ちゃんまで私をからかって遊ぶつもりなの? 頭ぽんぽんはなんだったの? もてあそんだの? 失礼しちゃう!


 そんな感じでよりいっそう不機嫌な私をよそに、周りの子供たちのテンションが急激に上がった。

「ほんとうにー!? すごい! でも確かにこの前きたのが2年前ぐらいだから、ちょうどそろそろ時期だよね!」


 村の子らがいっせいに盛り上がり始めた。え、どゆこと? なにこれ? え? いじめ?

 赤ちゃんながら眉をひそめた私に気づいたマル兄ちゃんが説明してくれた。


 なんと、この世界には魔法使いという職業があって、人々の生活に役立つようなことをしてくれるらしいのだ!

 今まで魔法使いが来たときも、水の貯蔵タンクを作ってくれたり、成長の遅い作物を一気に成長させたり、日照り続きで水不足のときに畑に水をまいてくれたりしたらしい。


 村の悩み事を解決してくれるすごい人。それが魔法使い。

なんと国に雇われているため、村の悩み解決料金は無料。また、村人の個人的なお願いに対しては個人的に費用を渡して依頼したりも出来るらしい。


 おお。マジか。いたのね、魔法使い! すごい! すごいぞ、魔法使い!



・・・なんて私が言うと思いましたか?


だまされませんぜ、私は。

 おそらく、彼らの言う「魔法使い」というのは、「先進国の技術をもった人」。

 でしょ?


 そういうことでしょ。魔法使いなんているわけないんだから、まったくもう、ホントみんな子供よねー。

 さっきから私、笑われてるけれどぉ? あなたたちのほうが子供よ? 違う?

 魔法使いだなんて、プププ。


 まあ、でもこれはチャンスだ。ここがいったいどこなのかがやっと判定できる。

 以前、お父さんに国の名前を聞いたら、カスタール国といわれた。

 なにそれ聞いたこと無い。ていうか、なくない? ということで、結局何なのかわからず。


 でも、先進国の技術を持っている人たちは世界のことも詳しいと思われるので、聞けばいいのだ。わからないことは聞く。それが早い。


 ああー、早くその魔法使い? ププ・・・こないかなー。


 あ、その前に、魚を捕まえる道具をつくろう。あと、山菜を入れるための篭も。

 私はひもじいのは嫌いよ!



土日にあげられないので、本日2回投稿します。次回の更新は月曜日の予定です。

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