女神編② シャルちゃんからの手紙
【宣伝です】
本日3月15日は、後宮茶妃伝の二巻の発売日です!(パフパフ
なろうに掲載していたものを改稿したものとなります!前の巻より恋愛色つよつよとなっています!
ぜひぜひお手に取っていただけると嬉しいです…!
また、3月11日には『嘘憑き狐の巫女様は後宮で謎を占う』(コミック)が発売しています!
新章突入で、表紙に魅惑のイケメンが!!
Amazonさんなどのネット通販では在庫が少なくなっているようです汗
本屋さんの新刊コーナーなら残っているやも…お取り寄せ、電子書籍での購入などご検討いただけますと幸いです!
いつも応援ありがとうございます!
代表者会議が終わると、私はカテリーナ嬢とサロメ嬢だけを自室に呼び出した。
「わざわざ来てもらってすみません。シャルちゃんからお二人にもお手紙が」
そう言って、それぞれの宛名が描かれた手紙を二人に渡す。
「まあ、シャルロットさんから?」
そう言って二人は手紙を読み始めた。
私も改めて、シャルちゃんからの手紙を読みなおす。
ーーーーー
『親愛なるリョウ様
お元気ですか。きっと大変なことが多くてリョウ様のことだから無理をいっぱいしてそうで、心配です。
王都では少し風が冷たくなってきました。リョウ様もくれぐれもご自愛くださいね。
最近私は、リョウ様の学校の行事で行った法力流しのことを思い出します。
今みたいな、少し冷たい風が吹く時期でしたね。
ウサギを土に還した私の魔法を見て、誰もが汚らわしいものを見るような目で私を見た時、リョウ様だけはキラキラと優しい目で私のことを見てくれました。
それから、お酒作りを始めて……。
リョウ様と出会ってからの日々は本当にいつも楽しいことばかりで、私は思い出すたびに懐かしさでなぜか少し泣いてしまいそうになるんです。
あの時は、いつまでもいつまでもずっと、リョウ様のそばにいられたらいいと思ってました。
けれど今、こうやって離れてみて気づくことも多くありました。
独立のことを円満に進めるために、私は自ら望んでカスタール王国に残りました。
でも、国が落ち着いたら、またリョウ様の元に戻ろうとも、思っていました。
でも、分かったのです。
リョウ様と離れてみて、私はどれだけリョウ様に頼りすぎていたのか。
リョウ様に頼って、幻想を押し付けて、重荷を背負わせて……悔いても悔い足りません。
なので、私は決めました。
私は、このままカスタール王国に残ります。
きっとその方が、良いように思うのです。
私は、ずっとリョウ様に憧れていました。
そして同時に頼り切っていました。
リョウ様は信じれらないかもしれないですけれど、ここでは意外と私はしっかりやっているんですよ。
……けれど、私はきっとリョウ様のそばにいると全部全部リョウ様に捧げて頼り切ってしまう自分に戻ってしまいそうなので……きっとこれでよかったのだと思うのです。
寂しい気持ちはありますけど……。
私は自分でできることをやってみたいと思います。
だから、リョウ様もご自身のしたいことを優先してみてください。
あなたの永遠の友人シャルロットより
ーーーーーー
「シャルロットさん、このままカスタール王国に残ってくれるのね。寂しけれど、正直助かるわ。落ち着いてきてるとはいえ、ウヨーリ聖国の内政に集中できるのは、シャルロットさんが陛下を抑えてくれているからだもの」
そう呟いた カテリーナ嬢の呟きには寂しさとすこしの安堵があった。
二人に宛てた手紙にも、私に宛てた手紙と同じように近況を書いていたらしい。
現在シャルちゃんは、カスタール王国でテンション王の亡骸を操り続けてくれている。
この革命戦争後の混乱を最小限に抑えるために、しばらく陛下を操って国を治めるとシャルちゃん自身が提案してきたのだ。
私は複雑な思いでとめたけれど、シャルちゃんの決意は固くそのままカスタール王国へ。
ちなみに、シャルちゃんの操るテンション王は、なんと言っても中身がシャルちゃんになったようなものなので、宮殿内外から王様の評判が軒並み上がっているらしい。
ちなみにヘンリーは王位にはほとんど興味がなく、シャルちゃんが操る陛下を前にしても何も口出しをしてこないとか。
とはいえ、そんな危険なことに身を投じるシャルちゃんの苦労は底知れず、ウヨーリ聖国が落ち着いたら戻ってきてほしいと言っていたのだけど……。
どうやら、シャルちゃんはカスタール王国で頑張ることにしたらしい。
シャルちゃんは手紙で、重荷を背負わせたとか、悔いてるとか言ってるけれど、私は全然そんな風に思ってない。
いつもシャルちゃんが心の支えだった。
幻想を押し付けたと言っていたけれど、私はそうやって信じてくれたことが心地よくて、むしろ救われたように感じることもあった……。
もしかしたら、いつでも私のことをすごい人だと信じてくれるシャルちゃんに依存していたのは、私の方なのかも。
「もうちょっと国内が落ち着けば呼び戻せるんですけどね……」
私が、そう呟くと、サロメ嬢が首を振った。
「声をかけても戻ってこないわよ。きっと。彼女は結構頑固なところがあるもの。……この手紙の通りの気持ちなら、自分なりに何かけじめをつけない限りは戻ってこないと思うわ」
サロメ嬢がそう言って、私の方に手を置いた。
寂しいと感じている私を励ますように笑顔を向けてくれる。
「そうですね……。シャルちゃんはすごく芯のしっかりした人でした」
この手紙を書くまでに、送るまでに、シャルちゃんなりの葛藤があったのだろう。
サロメ嬢の言う通り、彼女が彼女なりに考えて決めたこと。
今は彼女の覚悟を友人として応援するべきなのかもしれない。
寂しいけれど……。
「そういえば、アランさんからはあのあと便りはきたの?」
カテリーナ嬢に違う話題を振られて私はうっと眉根を寄せる。
「……まだです」
アランとはあの戦争の時以来、実は会えていない。
アランはレインフォレスト領の人間で、つまりカスタール王国側になる。
今は、レインフォレスト領で暮らしているのだと思うのだけど……。
私からお手紙を送ってみたのだが、返事が来ないのだ。
怒っているのかもしれない……。
最後、自分でも結構ひどいことをした自覚はある……。
一応お手紙では、この前のことをひたすら謝ってはいるのだけど、流石にそれだけでは許してもらえなかったのかも……。
アランとの最後のやり取りが思い浮かぶ。一緒に逃げようと言ってくれた、あの強いまなざしを。
できれば、二人で一緒に海を越えて、新しい世界を一緒に旅して過ごしたかったけど……。
「まさか、リョウさんがアランさんにふられる日が来ようとはね」
「本当ねぇ」
二人から不穏な会話が聞こえてきて私は慌てて首を振った。
「なっ! まだ、まだふられた訳ではないですっ!」
返事は確かに来ないけども!
だから、別にふられたわけじゃあ、ない、はず……。
……いやふられたのかも。
でもそれでもいい、ふられててもいい。
だけど便りが全くないのは、いやだ。
もしかして、もうこのまま会うこともないのだろうか……。
もう会えないのは、寂しすぎる……。
【宣伝です】
重ねて宣伝ばかりですみませんが、
ちょうど刊行時期が重なってしまい…!
2月28日 発売
後宮妃は麒神の生贄花嫁 五神山物語(スターツ出版文庫)
3月11日 発売
嘘憑き狐の巫女様は後宮で謎を占う3(スクウェアエニックス)※コミック
3月15日 発売
後宮茶妃伝2 寵妃は愛で茶を沸かす(富士見L文庫)
いつも応援本当にありがとうございます!
これからも楽しんでいただけますと幸いです。









