混迷編⑨ ウヨーリ教徒の現状は
最近始めた後宮ものがそろそろ佳境です!
タイトル:後宮茶妃伝 ~寵妃は愛より茶が欲しい~
ぜひぜひ、読んでいただけると嬉しい……!
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※恋愛ジャンルに出してるけど、恋愛うっすと思ったらすみません。
私が、思わせぶりなアランにちょっとばかしどぎまぎしてる間に、コウお母さんは治療師として呼ばれて離れていき、カテリーナ嬢達が話し合って二人でこれから王国側の陣営にいくと言いだした。
というのも、王国側には私を探すためにシャルちゃんが行っているのだ。
突然帰ってきたゲスリーに私のことを直接問いただす勢いだったシャルちゃんに、私が戻ってきたことを伝えに行く必要があるらしい。
「今から追いかければ、そこまで大事にはならないと思うわ、多分」
とカテリーナ嬢が心配そうにいう。
サロメ嬢もそろって暗い顔をしてるのだけど、私はそこまで暗い顔をすることが腑に落ちない。
「確か、向こうにはリッツ様もいるんですよね? それなら、きっとシャルちゃんもそこまで大事にはしないのでは?」
ゲスリーに直接問いただす勢いとは聞いたけど、実際そこまでしないと思うしリッツ君がいるならうまくやってくれると思うのだけど。
と私が暢気な気持ちで聞いたのがいけなかったようで、二人にものすごく睨まれた。
「あ、な、た、ね! リョウさんがいなくなってからのシャルロットさんを見てないからそんなことが言えるのよ! ここ半年ほどの彼女と言ったら、もうほんと、すごかったのよ!?」
「え、すごい……?」
カテリーナ嬢の言ってることはうまく呑み込めず、首をひねるとサロメ嬢のため息が続いた。
「荒れに荒れて、触れる物すべて切り刻む勢いの鋭さだったのよ……」
とサロメ嬢がその時のシャルちゃんを思い出してるのか、青い顔でそうぼやく。
「シャ、シャルちゃんが……?」
鋭いナイフのようにとがってるシャルちゃんをうまく想像できないのだけど……?
でもカテリーナ嬢達が嘘をついているようには見えないので、二人が言ってることは事実なのだろう。
「まあ、シャルロットならあり得るな」
とアランは私よりも妙に納得してる。
でも、確かに、私も、もしシャルちゃんが行方不明なったら……。
正直、私の中では別れたのが数日と言う感覚なので、あまり実感がわかないのだけど、そうだ。
私は、半年以上も、皆の元から離れていたのだ。
「とりあえず、今からサロメと二人で、シャルロットさんを追いかけるわ。リョウさんは、しばらくここにいるのでしょう? ゆっくりしていってね。あ、あと、また勝手にどっかいったりしないでよね!? 本当にリョウさんがいなくなってから大変なことの連続だったんだから……」
とカテリーナ嬢がため息混じりにいう。
うん、そうだよね。だって王都の商会で働いているはずのカテリーナ嬢達もここまで来て内戦に巻き込まれようとしてるんだもん。
色々あったに決まってる。
「すみません。シャルちゃんのこと、よろしくお願いします」
私は深々と頭を下げて、シャルちゃんのことを託した。
◆
カテリーナ嬢達と別れて、私はアランと一緒にこそこそと天幕を出てルビーフォルン&グエンナーシス領連合軍の様子を観察した。
予想はついていたけれど、見事なまでにウヨーリ教徒だった。
ここにいるウヨーリ教徒達は、ウヨーリ様の正体が私だと知っている。
私が以前、ウヨーリの正体が私だと広めてほしいとタゴサクさんにお願いしていて、それがほぼ浸透してる形だ。
その時は、私がグエンナーシス領をまとめるのに有利に使えると思ったからそうしたのだけど、今となっては早まったような気がしなくもない。
いや、どちらにしろタゴサク先生の営業力をもってすれば、そうなってたかもだけど。
私がウヨーリということもあって、ここにいる人たちは、ヘンリーとともに姿をくらました私のために戦おうと集まってきてくれている軍団になる。
王国側も、私がヘンリーを殺しただのなんだの言いがかりをつけてるし。
まあ、グエンナーシス領のウヨーリ教徒とルビーフォルンのウヨーリ教徒は宗派がちょっと違うみたいだけど、別に対立するようなレベルではなく仲良くやっているようで……というか、グエンナーシス領のウヨーリ教徒が、ルビーフォルンのウヨーリ教徒に吸収されつつあるというのが正確かもしれない。
みんな、タゴサクさんに影響されすぎでは……?
本来グエンナーシス領のウヨーリ教徒は、ウヨーリの次に剣聖の騎士団を神聖視するようなところがあったのだけど、そこにタゴサク大先生が割り込んできてる感じだ。
陰からタゴサクさんを見つけて、タゴサクさんが開催するウヨーリ様を讃える会合をこっそり覗いてたんだけど、ルビーフォルン領民だけじゃなくてグエンナーシス領民も混ざっていて、参加してない人もチラチラ集会を気にしていて本当は気になるオーラ出してるし……。
タゴサクさんすご過ぎない? もうこのままウヨーリすら追い抜かしてタゴサクさんを頂点にすればいいのでは?
ちなみに、本日のタゴサク尊師のお話によると、愚かなる王族の蛮行によってウヨーリ様は悲しみにくれて、聖なる岩戸とよばれる洞窟にお隠れになっているのだとか。
ウヨーリ様がお隠れになると、太陽も元気を失くして作物もうまく育たないし大変らしいけど、見て! 太陽普通に輝いてるよ!? と叫びそうになったよね。
そしてウヨーリ様を岩戸から引っ張り出すために、王国軍と戦わなくてはいけないんだって。
やめて、そんなことしてもウヨーリ様は出てこない。
せめて戦いとかじゃなくて踊りとかにして。
踊りにつられてひょっこり岩戸から顔を出すような愛嬌があるキャラ設定にして。
ちなみに、そんなタゴサク尊師の話を聞きいるウヨーリ教徒の皆さんは、もうね、やる気がすごいの。団結力というか、とりあえずすごい一体感がある。
許すまじ王国軍! 讃えよウヨーリ! ウヨーリ様を返せ! っていう感じのオーラをバンバン放ってる。
これは、本当に手ごわいと思う。
敬虔なウヨーリ教徒が、ウヨーリを讃えながら、ウヨーリを貶めた王族を目の敵にしていて恐い。
王国軍は、確かに魔法使いの数も多いし有利のはずなんだけど、多分一人一人の士気は低い。
こちらの陣営の士気の高さや意志の強さをみると、ゲスリーという天災を前にしても王国軍に勝てるかもしれないと思う親分達の気持ちが少しわかる。
タゴサクさんに、私が戻ってきたことを伝えるべきかと少し迷ったけれど、とりあえずは保留することにした。
タゴサクさんに伝えた後のことが想像できないし、親分の反応次第で今後の動き方を変えるので、今タゴサクさんに私の戻りを伝えるのは賢明ではないように思う。分からないけど。
本当に、タゴサクさんについては何年付き合っても何考えてるかわからないし、予想つかない。
ほぼ一日、タゴサクさんの奇行によって統一されているこちら側の陣営を観察していたら、日が暮れた。
まだ、親分からの返答はないけれど、明日ぐらいには答えをくれるといいな。
私は、これからのことを思いつつコウお母さんが用意してくれた天幕に戻ることにした。
最期まで読んでいただきありがとうございます!
実は書籍版の『転生少女の履歴書』が、現在コミックシーモアの電子コミック大賞2021のラノベ部門でノミネートしております!!(驚)
本当にありがとうございます!
十巻まで続くシリーズになったことですら奇跡なのに、なんだか素敵な企画にノミネートできるなんて……!
サスリョウ!(鳴き声)
登録なしでも投票できるので、ぜひ転生少女の履歴書に清き一票をおねがいします!
いつも応援マジありがとうございます(サンクスアンドサンクス!)
あとあと新作の『後宮茶妃伝 ~寵妃は愛より茶が欲しい~』もどうぞよろしくお願いします!
後宮×中国茶(緑茶)のお話しです…!









