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転生少女の履歴書  作者: 唐澤和希/鳥好きのピスタチオ
第三部 転生少女の救済期
160/304

神殺しの剣と魔物編① いざ魔物退治!

もうすぐ書籍版転生少女の履歴書3巻発売!

ということで来週あたりは、週一の更新じゃなくて、週2,3回更新頑張ろうかなと思ってます!

土日頑張って、発売日か、発売日前あたりに…できたら…!

ということでよろしくお願いします!



 休み休みだけれども、治癒魔法を使って、怪我した人々の傷の手当てをしていると、しばらくしてリュウキさんが目を覚ました。


 一応、何か後遺症とかおかしいところがないか、確認のためリュウキさんの元にやってきて状態を確認する。

 白い布を被っている人物の登場に最初こそ面食らっていたけれど、正体が私だと聞いて病み上がりの彼は、額を地面に擦り付けようとしていたので全力で止めた。


 そういえばこいつは、タゴサク教徒……というかウヨーリ信者だった。


 思いのほかに元気そうだったリュウキさんを確認すると、今後の話や、リュウキさんをあそこまで追い詰めた魔物の話を聞きたいということもあって、人払いをしてから奥まったところに移って、話をすることになった。

 地面に布を敷いて、囲むように私、コウお母さん、セキさん、リュウキさんが座る。


「リュウキ様、お体は大丈夫ですか?」

「はい。私は、問題ありません。あの、父から少し話を伺ったのですが……私の傷を、神聖なるお力で癒してくださったとか……」

「神聖な力かどうかはわかりませんが……」

 と前おきをしてから肯定した。

 アズールさん含め、もともとの私を知っている人は、私が白い布を被ったぐらいじゃごまかせないので、決して口外しないことを厳命した上で、私はウヨーリじゃないけど、一旦ウヨーリの振りをするということを伝えている。


 ……アズールさんにも、私が、治癒魔法を使って傷を治療できることを説明した。最初こそ驚いていたけれど、すぐに納得してくれた。

 国にはこのことを秘密にしたいということも正直に話した。アズールさんは、話すつもりはないと言ってくれたけれど……このままルビーフォルンの問題が片付いたあとに王都に帰すのは、やっぱり抵抗が有る。できれば、ルビーフォルンに残ってもらいたい……。無理強いは、できればしたくないけれど……。


「ありがとうございます! ああ、なんて素晴らしい奇跡! やはり、リョ、ごふんん!」

 興奮したリュウキさんが大きい声で私の名前を呼びそうだったから、慌ててリュウキさんの口を手で覆って止めた。

 人払いしているとは言っても、どこかで誰が聴いてるかわからないんだから、慎重にしてくれないと!


「リュウキ様、私、今ウヨーリなんで。それと、ウヨーリっていう名前にしても、あんまり軽々しく言うと、口がただれるらしいので、気をつけてください!」


私が睨みながら小声でそう言うと、リュウキさんは私に口元を抑えられたままうんうんと頷いた。


「あー、うちの息子がすまない。後で、色々と君の置かれている状況については説明しておく」


 そう言いながらセキさんが咳払いをした。

 本当に頼みますよ!


 私は、渋々リュウキさんの口を覆った手を離して居住まいを整える。

 私の手が離れてからも、なんだかキラキラとした目で私を見てくるリュウキさんと目を極力合わせないようにして、本題に入ることにした。


「それで、リュウキさんに聞きたいのは、魔物についてです。リュウキさんに怪我させた魔法の効かない魔物は、どうなってますか?」


 私が真面目な顔でそう質問すると、リュウキさんはキラキラと私を見てくる目を見開いて、そして伏せた。嫌なことを思い出させてしまったかもしれないけれど、でも聞かなくちゃいけないことだ。

「おそらく……まだ結界付近の岩場にいるかと思います。あの魔物は不思議とあの辺一帯から去ろうとしないんです。私は、あの魔物が魔法が効かない魔物だということに気づかず、近づき返り討ちにされました。一緒に行った者に運ばれながら、どうにか逃げることはできましたが……」

 とそこまで語って、その時のことを思い出したのか、辛そうな顔をした。


「その魔物は特定の場所にずっと居座っているということですか?」

「はい。ですが、ある一定の距離近づくと、攻めてきます。大きな亀のような姿をしているのですが……甲羅の部分にはどんな攻撃も効かないですし、甲羅から出ている四肢も皮膚が分厚く矢が刺さりません」


 魔法が効かないだけじゃなく、どんな攻撃も跳ね返す甲羅に、分厚い皮膚。矢が通らないのはきつい。思ったよりも厄介だ。私は取り出していた神殺しの短剣を握り締めて、リュウキさんに見せる。

「リュウキさん、これは神殺しの短剣です。その魔物の大きさはどのくらいですか? この短剣で、致命傷を負わせることはできそうでしょうか? 例えば、首を切り取ったりとか……」

 リュウキさんはその短剣をみて、首を横に振るう。


「正直に申し上げますと、首を切り落とすのは、難しいかと。皮膚は本当に硬いですし、そう簡単には、刺さりません。それに、首周りは特に太く、この短剣の刃渡りの2、3倍はあるかと思います。しぶとい魔物のことです、この短剣を運良く深く刺すことができたとしても、致命傷にはなりえないと思います」


 頼みの綱の短剣だったんだけども……。

 私が、興奮の魔法を使って、力をあげて、短剣を貫通させることは可能かもしれないけれど、話を聞く限り切断まではいきそうにない。魔物は非常に頑丈で丈夫だ。それになにより首に攻撃をするにしても、ある程度、魔物を弱らせるなり動きを封じないと近づくことさえできない……。

 まず、手足をどうにかして切り落とせないだろうか……。それを切り落として、動けなくしたところで、炎で回りを囲えば……。


「脚や腕の太さはどうでしょうか?」


「首ほどではありませんが、太かったと思います。ただ、手足の切断も難しいかと。あの魔物はいざとなれば甲羅の中に四肢を隠すことができます」

 なるほど、甲羅の中に入ってしまうと手出しができない。こちらが右往左往している隙を付いて魔物の攻撃を食らう可能性が高い。

 想像以上にやっかいかも。

 今の心もとない装備だと、危険すぎる気がする。せめて、クワマルさんが作った不格好な短剣だけじゃなくて、きちんとした長さのある剣があればまだやりようはあったけど……。アズールさんの話にもあったとおり、国からは神殺しの剣を持つ騎士は派遣されていない。


 この神殺しの短剣一本だと、正直きつい。倒すのは無理、かもしれない。

 ちょっと前の私なら、それでも挑んだかもしれないけれど……。


「その魔物を倒すのは、諦めましょう」

 私がそう宣言すると、セキさんが慌てたように顔を上げた。

「しかし、それではこの周辺の村が危険に晒される。リュウキの話によると、その場から動かない魔物ということだが、必ず動かないという保証はない」

「わかってます。倒さないとは言いましたが、対策をしないとは言っていません。この魔物がいるあたりの地図を見てください」


 私はそう言って、簡単な地図を床において、手で見てもらいたい箇所を指差す。リュウキさんから魔物がいると教えてくれた場所だ。


「リュウキさんの話ではこの魔物が居座っている場所は、川の結界の近くです。この川の結界を枝分かれさせて、魔物を閉じ込めましょう」


「川、を?」


「私、領地に戻るまでにいくつかの村をみて、田んぼの開墾状況を見てきました。魔法を使って、川を枝分かれさせて、水を引いてくださっていましたよね。同じ要領で、川を枝分かれさせ、そして、魔物を囲うようにして元の本流に戻すんです。……川自体に結界となる魔法の効果があるなら、枝分かれさせても結界としての役割を果たせるのではと思うのですが、どうでしょうか?」


 この質問には魔術師のリュウキ師が嬉々とした様子で答えてくれた。


「確かに、その方法なら、魔物を封じることが可能です! 川の結界は、川の流れに魔力が宿っており、魔物が封じられる側の土地と川との境界にその結界の効果が発揮されてます。きちんと、対岸の地を整備し、川を流れさせれば、結界としての役目を果たすはずです」


 よし、ならこの方針で行こうかな……。あ、実際に土木作業やる人の意見を聞いてなかった。私は大掛かりな魔法を得意とする精霊使いのセキさんを見た。おそらく今までの田んぼの開墾作業を行っていたのは、セキさんだろうと思っている。


「セキさん、できそうですか?」


「君には、本当に驚かされる。もちろん、可能だ。むしろ最近はそればかりやっていて、今では目をつむっていてもできそうなぐらいだ」

 土木作業なら任せてくれ! とばかりに白い歯をきらめかせてセキさんは応じてくれた。

 セキ氏、本当にありがとうございます!

 だいたいの方針が決まって、少しホッとしながらも、失敗できないので、細かい打ち合わせを行う。

 ある程度話がまとまると、やるなら早めにやろうということで、その日のうちに魔物がいると言われる場所の周辺に向かうことになった。



前書きでもありましたが、書籍版発売を記念して、次回は、発売日11月30日の前日、29日あたりの更新を考えてます!

できれば連続で更新したいなぁ……!

ということで、来週お話を読む際は、お気を付けくださいね!

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