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姫はドラゴンに恋をする  作者: 楡葵
第1章
7/40

始まり

辺りがガヤガヤとしてきた。

ホールにまた人が集まってきたようだ。

気づけば、もうパーティー第2部の始まる時間。




サラも足をそちらに向けようとした、その時。


ゴオオオオオオ


ものすごい轟音とともに、一気に頭上が暗くなる。

「?!」

あわてて上を見上げれば、大きな黒い塊が通り過ぎていった。

「なに、あれ……?」

今までこの城で暮らしてきて、初めて見る光景だった。

夜も遅く、それが何なのかはわからなかった。

しかし、何か大きな翼のようなものが左右に揺らめいているようにも見えた。




宴も中盤に差し掛かった頃。

サラへの祝辞とともに、近国の仲の良い姫君達が話しかけてきた。


「そういえば、エトル国のメル様がこの間、舞踏会の帰りに襲われたらしいの」

噂好きのグレンデール姫とジュリアナ姫は、どこから仕入れてくるのか、ありとあらゆる最新情報を持っている。


「聞いたわ、魔獣らしいじゃない」

「最近、出すぎじゃない?」


特に国を越える時は山を通る。

そのような木の生い茂る場所には決まって魔獣が出る。なぜか、若い女性ばかりを狙うのだ。


「なんと、黒騎士様に命を救われたそうよ」

なんと、あの黒騎士に接触した姫君がいるなんて。

サラも興味津々で聞き入った。

「紳士にも、屋敷まで送って行かれたんですって」

「ここ数年、至る所でご活躍ね」

はあ、と皆からため息が漏れる。


「とても素敵でお優しい方だったようで、もう彼以外は考えられないって、来ているお見合い話を全部断ってしまったらしいの」


メル様はエトルの王女で、見目麗しく、求婚者が耐えない事で有名だが。

そんな彼女をも虜にしてしまうなんて。


「羨ましいわ!私も襲われないかしら!」

「一目お目にかかりたいわ!」

黒騎士の事になると、姫達は頭が狂ったようにおかしな事を言い出す。


その狩りの抜群の腕前、国民に手を差しのべる寛大さ。そして、美しい指先、逞しい身体つき。姫達は噂だけでも十分すぎるくらい虜だった。


「メル様、勢いで逆プロポーズされたみたいなんだけど……どうやら断られたみたい」

「何でも、想い人がいるとか」

「あのメル様より愛されるなんて、お相手の方は幸せですわね!」


(ずっと想ってもらえるなんて、幸せだなあ)


サラは羨みながら、目を閉じた。






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