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姫はドラゴンに恋をする  作者: 楡葵
第6章
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氷の第1王子

「ん……何?」


夜中、カタカタと音が鳴るので目が覚めた。


「宝玉……?」


部屋を見渡すと、金色の光を放つ宝玉が目に映る。


恐る恐る近づいてみると、


“中庭に行って”


誰か、知らない女の人の声がした。


「あなたは……?」


それ以降、声は聞こえなくなった。





サラは中庭まで急いだ。

最後の角を曲がった瞬間、立ち止まってしまった。


ドラゴンと……それを撫でる青年。

青年はこちらに背を向けている為、顔は見えなかったが、なんだか懐かしい面影だ。


だが、こちらを振り返った瞬間。

サラは息の仕方を忘れてしまった。


その場の時が止まってしまったかと思われるほど、長い時間、2人は見つめ合っていた。


間違いない。


「アル!」

苦しくて、やっとのことで吐き出した言葉は酷く胸を熱くした。


こんなに大きな声で叫んだのは久しぶりで、喉がジンジンする。


だが、その瞳は氷のように冷たかった。


「1人で行動するなど、小国の姫というのは愚かなものだな」


低く冷たい声。

そこには、今まで見たことのない、冷たい目をしたアルスがいた。


「こんな、娼婦のような格好をして」

露出度の高いドレスを、軽蔑するように見下げる。


まるで人が変わってしまったかのような発言。

アルスの面を被った別人のようだった。


スッとこちらへ伸びてきた腕は、サラの大きく開いた背中から太ももまでを一気に撫で下ろした。

初めての感覚に、びく、と体が反応してしまう。


その様子に、彼は少し目を細める。


見つめる瞳が煌めいて、熱を持っているように見えた。


「ア……ル?」

彼は、瞬時に表情を凍らせ、とても冷酷な笑みを浮かべた。


その拍子に、貰ったネックレスがちぎれて落ちた。


それを見て、少し目を見開くが、すぐに元の無表情に戻る。


「愚かだな、こんなものをずっと持っていたとは」

言葉とは裏腹に、苦しそうな表情で。


「やめてっ……」

手に乗った石は、ゆっくりと凍っていきーー

パリン!

見るも無惨に、粉々にされた。


「ひどいわ!」

手を振り上げた手は、氷のような冷たい手に、いとも簡単に捕らえられてしまった。


「アル……」


一瞬垣間見えた、透き通った瞳。

だが、すぐに暗い黒に戻ってしまった。


「そんな名など、とうの昔に捨てた」


暗い暗い森のような瞳が、サラを捕らえた。まるで飲み込まれてしまいそうな程に。


そして、あっさりと解放する。


「お前の知っているアルスはもういない」


あきらめろ、という言葉と共に、その場から風のように消え去った。


つう、と涙が頬を伝った。


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