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姫はドラゴンに恋をする  作者: 楡葵
第5章
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恋慕

サラとガルが親しくなるのは予想外だったが、召使い達は歓迎した。


この結婚は政略結婚とばかりおもっていたが、そうでもなさそうだ。


トリオも最初はガルを毛嫌いしていたが、だんだんと人柄が見えてくると、その気持ちも緩和されていった。


2人が本当にお互いを想いあえるならこれ以上の幸せはない。


「サラ様が笑っていられるなら、それが私の幸せよ」

「サラ様大好きでし!」

「……最高」






「サラ、たまには庭を歩かないか」

珍しく、ガルから誘いを受けた。


「ええ勿論です、旦那様」

まだ旦那様という響きには慣れなかったが、不思議と自然に言えた。


紳士のガルはサラに手を差し伸べ、サラもそれに応える。


召使い達は穏やかに2人を見守った。

側から見ても仲の良い夫婦だ。


ナワルド城の庭は広大だ。


しばらく歩くと、綺麗な湖があった。

振り返れば、ずいぶん城が遠く見える。


「よく母親に連れてきてもらったんだ」

唐突にガルは語り始める。


「良かったら、聞かせて下さる?」


寂しそうなガルの心の支えになってあげたかった。


「母親は、金と王位にしか興味がなかった」

あまりにも氷のような表情に、なんと口にしたらいいかわからず、俯いた。

それに、本当にそうなら、ガルとは随分雰囲気が違うことになる。

城に飾ってある肖像画では、とても綺麗な人だった。


「俺には腹違いの兄がいるが、たった数歳の違いで第1王子になった事もあって、目の敵にしていた」


「俺は王位なんて興味なかったから、醜い争いだと思った」


だが、ガルの母親はあの手この手でアルベルトを引きずり下ろし、ガルを第1王子にさせ、女王の地位を望んだ。


刺客を送り込んだり、食事に毒を盛ったり、あらぬ悪評を立てたり。


それでも王はなぜか、アルベルトを第1王子とした。

発狂した母親は、1人でアルヴェルの森に迷い込み、帰らぬ人となった。


「兄さんは俺が追い出したんだ」


そんな、と手を伸ばし、ガルの頬に触れる。


「違うわ、あなたのせいじゃない」


そう言った瞬間、サラは温もりの中にいた。


「こんな気持ちは初めてだ」


ぎゅう、と抱きしめられたことに驚いて目を見開く。


「ありがとう」

子供のように顔をくしゃっとさせながらそういったガルに、愛おしさを感じるのだった。



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