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ドラゴンと人間 4
『さあ、早く殺してしまえ!』
『殺せ!』
『殺せ!』
エルまであと10メートルを切った。
その場にいる者たち全員が、完全に魔女に心を支配されていた。
『統率を誑かす悪魔に天罰を』
頂上に辿り着いたドラゴンは、ゆっくりと爪を振りかざす。
『やめろ、ヴァイス』
落ち着いた、通った声がその場に響き渡った。
するとなぜか、ヴァイスと呼ばれたドラゴンの手が止まった。
魔女の呪縛よりも強い言霊。
こんな物を持っているのは。
この森で唯一、"彼"しかいない。
赤い眼が戻り、動物たちは驚いてそれぞれに顔を見合わせる。
『リフィル様……?』
『おやおや、思ったより早いねえ』
魔女は可笑しそうに嗤い、その場を去った。
残されたのは、未だに目覚めぬ可憐な少女と動物たち、そしてリフィルのみ。
そんな彼らを横目に、エルの下へ急ぐ。
『エル?』
頬に伸ばした爪先。
はっ、として引っ込め、鼻先で触れる。
初めて触れたその肌は、冷たかった。
それと同時に来た、心臓への強烈な痛み。
まるでナイフで抉られたような。
『クハハハハ』
静まり返った場に似つかわしくない笑い声が響いた。
今までにない程の怒り、悲しみ。
リフィルの凄まじい覇気に、周囲は呼吸をする事すらままならない。
『この娘はお前を助けようとして私に命を捧げたのさ』
昨日1人で歩いていた所を、魔女は見ていたのだ。




