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姫はドラゴンに恋をする  作者: 楡葵
第3章
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兄との思い出

ガルは、珍しくバルコニーに出ていた。


明日は特別な日になる。

兄アルベルトが出て行ってもう10年が経つ。


空を見上げ、兄との思い出を振り返る。




『アル兄様は、花壇がお好きですね』


『落ち着くんだ、ここにいると。いろんな花を見られるだろう?』


色とりどりの花に囲まれて微笑む兄は、とても絵になって。

ガルは少しの間、声も出ず見つめていた。


しかし、その中に、一つだけ、何も植えられていない花壇があった。

正確には、「植えられていた」のだが。


『兄様は、アリアはお育てにならないのですね』


そう、昔はこの花壇一面にアリアが咲いていたのだ。

いつの日か、兄はこの花壇を処分するように庭師に命じた。

その花がその後どうなったのかは分からない。



『・・俺には育てられないんだよ』


そう、哀しそうに言う兄。

こんな顔をするところを見たことがなかった。


『兄様、すみません……』


『いいんだよ。きっと触れたら……壊してしまうんだ』


空を見上げ、目を細めるアルス。

その瞳は、雲の彼方の、誰かを見ているような気がした。




『大切なんですね……とても』


『そうだね……だから、離れるんだ』


『つらく……ないですか……?』



最後の問いかけには、兄はほほ笑んだだけで、答えてくれなかった。

けれど、なんとなく、答えはわかった。


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