禁域
話している間も、お茶を足してくれたり、サラの体調を気遣ったりしてくれた。
ガルは強面なだけで、2歳年上の面倒見の良いお兄さんだった。
どこか、アルスに似ているような……?
ぶんぶん、と首を振る。
「そういえば、お父様がよく、森は怖い所だと言っていたわ」
サラの父は森を嫌った。
絵本に出てくる森ですら、顔をしかめた。
「よく、森へは行くなと言われていたわ」
「娘想いの父親だな」
サラには、ガルの言わんとすることが全く分からなかった。
「お前の父親は……」
そのとき。
「サラ様、もう約束の時間はとっくに過ぎていますよ」
ギョッとして振り返る。なぜここが?!
いつ、どこから、という質問をさせてもらう時間も与えられず、腕を引っ張られる。
まるで来るのを待っていたかのように、ガルは口角を上げる。
「いいタイミングだな。姫様には知られたくない……というわけか」
「……」
「ユーリ?」
突然立ち止まるユーリ。だがそれも束の間。
「早く部屋に戻りますよ」
「ええ……ガル様、続きはまた……」
ガルの部屋を出てから、一度もこっちを振り返らずに、サラの腕を引っ張ってスタスタ歩くユーリ。
「ユーリ、腕が痛いわ」
「っすみません」
部屋に戻ってからもユーリは押し黙ったままだった。
サラは怒られなかった事にホッとして、先に寝ることにした。
「まだ知らなくていいんだ、あなたは……」
ひっそりとつぶやかれた言葉と同時に、眠りに落ちたのだった。




