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姫はドラゴンに恋をする  作者: 楡葵
第3章
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アルヴェルの森

「本来は森を統べる者が持つものだ」


まるで手の上の宝玉が見えているのではないかと思うくらい、ガルは森のあらゆる事象に詳しかった。


「だが、統率のドラゴンは1000年前に死んだ。それから森を守っているのは、精霊達だった」


ドラゴン。

その啼き声によって雷雲や嵐を呼び、また竜巻となって天空に昇り自在に飛翔すると言われる。

その姿を見られる者はごく僅かだ。


もはや否定などできない。

ドラゴンは実在する。

サラは、この目で見てしまったのだ。

極めつけに、この宝玉。


「森には良き存在だけがいるわけではない。」

この間の魔獣。

サラはごく、と唾を飲み込む。


「今や魔力は森を覆い尽くすほどに強大なものになっている。精霊の力も及ばないくらいにな」


だから、"彼"は来たのだ。

森を守れる者は、もう森の中にはいない。


サラは宝玉をきゅっと握る。


「これを預かってしまったからには、もう逃げられないわ。」


サラの眼は、まっすぐ前を見据えていた。


その瞳を見たガルは、安心したように目を閉じ、語り始める。




ーー1000年前 


まだ国というものが存在していなかった頃から、そこには巨大な森が存在していた。


そして、長い長い時が経ち、様々な国が興亡を繰り返す中、その森だけは依然としてその威厳も、面積も失わぬまま、存在し続けてきた。


好奇心で入った者のほとんどは2度と出てくることはなく、奇跡的に出てこられたとしても、体の一部を失っていた。


そして、彼らは口々にこう叫んだ。


『ドラゴンに襲われた』

と。


その森こそが、時代を超えて語り継がれることとなる、“アルヴェルの森”である。





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