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姫はドラゴンに恋をする  作者: 楡葵
第3章
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精霊の巫女

「しっ!静かになさい!」

「エミリーが1番うるさいでし!」


なんだか賑やかな声に、目を覚ます。

「ん……」


「姫様っ!」

「元気になってよかったでし」

「……よかった」


心配していた召使いトリオがすぐ側についていてくれたようだ。

エミリーに至っては、サラの顔を見るや否や、飛びついてきた。


「もう、エミリーったら、心配性ね」

「本当に、よかっ……た……」


「エミリー?大丈夫?」


サラが顔を覗き込もうとした時、エミリーがよろけて滑り落ちそうになる。

しかし、倒れるのを予測していたかのように、ルチが抱き止めた。


「……アホミリ―」

「……るさい、わ、よ」

「……話、ダメ」


エミリーをベッドに寝かせる。

「そうよエミリー、今日はもう仕事はいいから、寝なさい」

「姫……様ァ」

サラの言葉に涙ぐむエミリー。


「さて、サラ様はお勉強の時間ですので部屋に戻ります。エミリーはよく休むように」

「うう……ルチ、プト。エミリーをよろしくね」


(それにしても、ルチってあんなにカッコよかったかしら)


とても失礼なことを考えながら部屋に戻る。

そして今日も、教育係の熱血指導に耐え忍ぶサラであった。






長い勉強も終わり、サラはユーリに嘆願して、少しだけ自由時間をもらった。もちろん夜も遅いため、範囲は厳しく限定されたが。


行き先は、もちろん例の場所。


「ごっごきげんよう」

「……あれで忍び足のつもりか?」

「うう、修行中ですの」


どうやらずいぶん前から起こしてしまっていたようだ。

恥ずかしくて俯きそうになるが、目的を思い出してぱっと顔をあげる。


「お聞きしたいことがありますの」

「そのようだな。入れ。茶を出そう」


サラをソファへ座らせると、ガルは茶を沸かしに行ってしまった。

1人残されたサラは、ぐるっと部屋を見渡す。


(なんだか緊張してきちゃった……)

勢いで来てしまったが、誰かに見られていたらこれは夜這いというものになるのだろうか。


(ユーリにばれたら殺されるわね……)

絶対零度のほほ笑みを浮かべる教育係を思い浮かべ、ブルッと体を震わせる。


無意識に手に持っていたものを握りしめ、はっと我に返る。

ゆっくりと手を開くと、金色に輝く玉。

やはり、この手の上にある。

改めて、まじまじと見つめる。


「これが、宝玉」


「今日はその話をしよう」


いつの間にか茶が出され、ガルが目の前のソファに座っていた。

びっくりした心臓を必死で落ち着かせながら、こく、とうなづいた。


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