熱
図書館で真実を聞いたサラは、しばらくの間、上の空だった。
『お前には、精霊の力が宿っている』
その最初の一言を飲み込むまでに、どれだけの時間を要したことか。
部屋に戻ると、心配したトリオが駆け寄ってきた。
中庭の氷でできた花を部屋用に摘んでくる、と言って出てから、随分と時間が経ってしまった。
「姫様、中庭迷ったんでしか?!」
「お花はあったんですの?!」
「ううん、やっぱり人の花壇のお花を摘むのはよくないわ」
そうは確かにそうだけれど…….
それにしても元気がない姫を不安そうに見るトリオ。
「なんだか疲れちゃったみたい、今日はもう寝るわ」
一気に体の力が抜け、隣にいたルチにもたれかかるように崩れ落ちた。
「!」
即座に抱きかかえたルチは、異変に気付き、サラの額に手を当てる。
「……熱」
「大変!すぐに氷と薬と水を持ってくるわ!」
「姫様ァ!」
トリオは、突然のことに慌てふためく。
そこへ話を聞いたユーリが駆け付け、サラを抱き上げる。
「俺がベッドへ運ぶ! 後は任せろ!」
いつも冷静沈着なユーリの、余裕のない表情。
「ユーリ様なんか焦ってたでし」
「……変なの」
「ふふふふふ」
それを見ていたエミリーはそっと笑みを浮かべるのだった。
「エミリー、気持ち悪いでし」
「うるさいわよプト」
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頭を撫でる手が温かくて心地良い……
頬を滑り降りた手は、手のひらに重ねられ、
ゆっくりと指が絡められていく。
それはまるで、ぽっかり空いた時間を味わうように。
『サラ……』
懐かしいような、心地いい響き
ーーこれは、夢?
握られた手に、一瞬ぎゅっと力が込められた気がした。
そしてーー
『 』
今……何て?
しかし、それを考える暇もなくサラは深い眠りへと落ちていった。




