宝玉
「姫様、鹿さんがいるでし!」
「トリ、ウマ、アライグマ……」
どこから来たのか、サラの周りにはたくさんの動物が集まってきていた。
「ふふ、姫様ったら人気者」
小鳥がまるで子守歌のようにさえずり始めた。
それが心地良くて、それぞれ、木にもたれて休息をとる。
みんな異国の地に来て間もないため疲れが出たのか、すぐに眠りについた。
サラだけはなぜか眠くなかった。
しばらく横に寝そべっている子鹿を撫でていた。
ゴオオオオ
!
またあの音がする。これは、ドラゴンの音。
私にしか聞こえない音。
サラは立ち上がって、音のする方へ向かった。
ここにいたらみんなが危ない。
だいぶ離れた所にきた。
ナワルドの敷地は広大すぎる。
大きな木の後ろに、苦しそうにもたれかかっている"彼"を見つけ、迷いなく駆け寄る。
「あなたはこの間の……」
サラに不可解な言葉を残して去っていったドラゴン。
足から大量の血が流れており、目も虚ろになっている。
「ひどい傷……」
宥めようと、ドラゴンに触れたその時。
フワア
その場所から光が発せられ、眩しくて目を瞑ってまた見ると、もう傷は消えていた。
「あれ?消えてる……」
また、インコの時と同じような事が起きた。
『やはり』
ドラゴンは唸った。
『精霊の巫女よ』
「え……?」
『これを』
渡されたのは、手のひらにおさまるくらい、小さな玉。
なんだかわからず、呆けていると、
『待っているぞ、我等が統率よ』
そう言って、飛び去っていった。
「これは……」
「ドラゴンの宝玉だ」
後ろから突然声が聞こえ、ぎょっとする。
この氷のような冷たい声。
謁見の時から全く変わらない。
「ほうぎょく……」
そう、ガルは教えてくれた。
「俺には宝玉どころかそれを持ってきた奴さえ見えないがな」
気のせいだろうか。
どこか淋しげに見えた気がした。
「説によれば、金色に輝き、透き通るほど透明らしい」
「ええ。確かにこの手の上にあるわ」
自分だけが見えている。
そう考えると、少し背筋が震えた。




