散策
部屋に通され、ガルとの接見まで待機を言い渡された。
「ふう、疲れたでし」
「こらプト!姫様の前で何言ってんのよ!」
「……眠」
「ルチ……あんたねえ!」
こっちへ来ても相変わらずの仲良しぶりである。
「それにしても、ガル王子は一向に来ないでし!」
「……無礼、嫌い」
「ほんっとヤな感じ!」
「きっと、忙しいのよ」
自分の為にプンスカ怒ってくれる召使い達に、思わず顔がほころぶ。
「そうだ、皆でお庭を散歩しましょう」
ナワルドは昔は季節があったが、数年前からずっと冬なのだ。花は数年前のまま、美しく咲いたまま、凍っている。まるで、魔法にかけられたように。
年中冬も悪くない。
せっかく来たんなら、楽しまなきゃ勿体無い。
サラは皆に提案した。
4人は、日が暮れるまで、思う存分広大なお庭散策を楽しんだ。
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ゴオオオオオオ
……?
ふとサラが空を見上げる。
「姫様どうしたんでし?」
「何か、聞こえない?」
「ルチ、聞こえるでしか?」
「・・・?」
空耳だろうか。前にもこんなことがあったような。
「姫様、きっとお疲れになっているのですわ。早く部屋に戻りましょう」
1週間の長旅と新しい生活環境で疲れるのは当然だ。
エミリーは心配そうにサラを見つめる。
そのとき
「あっ!」
サラが日よけにかぶっていた帽子が風に飛ばされて、空高く舞い上がる。
「皆、先に行ってて。すぐ行くわ」
ちょっと胸騒ぎがしたのもあり、トリオ達には先に行ってもらった。彼らにとってサラが大切なように、サラにとっても同じだった。巻き込みたくない。
「では私たちは夕餉の準備をしております」
イリヤ城の召使い達に全てをやってもらう事は可能だが、トリオは身の回りの世話は全て承った。
風はなかなか止まず、帽子はどんどん遠くまで飛ばされていく。
気づけば来るときに通った氷の花道に入っていた。




