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姫はドラゴンに恋をする  作者: 楡葵
第2章
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ナワルド

移動中はカモフラージュの為、馬車を2台に分ける事になった。

1台の古びた木製の馬車にはサラとユーリが、もう1台の豪華な馬車にはトリオが乗る。

トリオ達には囮として主道を行ってもらい、サラとユーリは山道を隠れて進む事になった。


プトはともかく、エミリーとルチは武術もかなり長けている。そこらのゴロツキくらい簡単にのせる。


「みんな、気をつけてね!」

「サラ様も!!」


別れを惜しみ、両馬車は出発した。


城が見えなくなるまで手を振ると、正面に座っている教育係を見る。

文句を言いながらも、一緒に来てくれたことがとても嬉しかった。


「ユーリ、来てくれてありがとう」

「……本当にあなたには振り回されますよ」


窓の縁に頬杖をつきながら、面倒臭そうに溜息をつく。


「そうね、私って疫病神でも憑いてるのかしら。でも、ユーリがいるから安心よ?」


少し寝るわね、と、なんの警戒もなく男の肩に頭を預ける少女。


「……先が思いやられる」


人情に一切無頓着な彼が、唯一、心をかき乱される少女。


この僅かしか年の違わない娘の笑顔に何度、救われた事だろう。




そっと少女の頭を撫でてやる。


そして__


『お仕置きです』


眠っている少女の頭に、そっと唇を寄せた。




山の中まで来た頃には、外はもう真っ暗だった。


もう一度目を閉じようとしたその時だった。


ガオオオオオ!!


耳をつんざくような獰猛な唸り声と共に、激しく馬車が揺れ、止まる。


叫び声を上げそうになるサラの口元を素早く腕で覆い、足元にしゃがみ込んで窓から様子を窺う。


「魔獣です!静かに」


暗闇の中に微かに見える巨大な黒い塊は、どうやら馬車を攻撃しているわけではないようだ。


何かもう一つの影と戦っているように見える。


ドオオオオン!!


そして、魔獣は倒れた。


はっきりとは見えなかったものの、サラには先程魔獣を倒した者の正体を確信した。


「あれが、黒騎士…」


ユーリは、無言で肯定した。



「あの、黒騎士様でしょうか?先程は助けていただき心より感謝申し上げます」


サラは馬車の窓を少し開け、騎士に向かって礼を叫ぶ。


「っ……!」

騎士はサラを見ると、驚いたように目を見開き、顔を反らしてしまった。


「2度とこの森に近づくな」


そう言って、去ってしまった。


先程の驚いた表情を不思議に思い首を傾げるサラと、その隣で何故か目を鋭く細めるユーリだった。



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