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1000年の子
『我と取引をする愚か者とは、お前か』
ケタケタと笑う老婆と、欲に塗れた1人の王は、アルヴェルの森で出会った。
『ふん。この俺様がわざわざ出向いてやったんだ。光栄な事だぞ』
老婆はフン、と鼻で笑って一蹴する。
このような図の高い馬鹿の望みなど知れている。
『貴様の魔術で、俺様を世界最強にしろ』
…やはり。馬鹿のやる事は一緒だ。
『もう少し頓知の効いた事は言えんのか。で、何を売る』
魔女は目を閉じ、条件の提示を待つ。
『ナワルドの光だ』
それは、ナワルドの人々から心を奪うも同然だ。
『お前にしては好条件だ。特に若い魂は我の寿命と美貌を保つのにもってこいだからな』
取引成立を確信し、貪欲な王ワルシェはほくそ笑む。
『今年この森に1000年に一度の森を統べる者が生まれる。この子供をお前に授けよう』
魔女はにやりと笑い、消えた。