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姫はドラゴンに恋をする  作者: 楡葵
第1章
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1000年の子

『我と取引をする愚か者とは、お前か』


ケタケタと笑う老婆と、欲に塗れた1人の王は、アルヴェルの森で出会った。


『ふん。この俺様がわざわざ出向いてやったんだ。光栄な事だぞ』


老婆はフン、と鼻で笑って一蹴する。

このような図の高い馬鹿の望みなど知れている。


『貴様の魔術で、俺様を世界最強にしろ』

…やはり。馬鹿のやる事は一緒だ。


『もう少し頓知の効いた事は言えんのか。で、何を売る』

魔女は目を閉じ、条件の提示を待つ。


『ナワルドの光だ』

それは、ナワルドの人々から心を奪うも同然だ。


『お前にしては好条件だ。特に若い魂は我の寿命と美貌を保つのにもってこいだからな』


取引成立を確信し、貪欲な王ワルシェはほくそ笑む。


『今年この森に1000年に一度の森を統べる者が生まれる。この子供をお前に授けよう』


魔女はにやりと笑い、消えた。

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