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プロローグ
周りには何もない深い森の中、そこに一人の少年が森の中を進んでいた。
髪も瞳も赤く、腰に2本の剣を携えている15、6歳くらいの少年だ。
彼はただ真っ直ぐ森の中を進んでいく。
その身になんとも言えない雰囲気を纏って。
そんな少年の後から四人の少年、少女達が彼に追いつこうと走っていた。
彼らが近づいて来るのを彼は気づいている。しかし、歩くのを止めようとはしない。
「待って!」
高く澄んだ声が森に響く。しかし、彼は無視する。自分には関係の無いことと言わんばかりに。
「待ってって、言ってんだろうが!」
今度は低く大きい声が聞こえる。同時に彼の目の前に火柱が行く手を阻んだ。
目の前の火柱にさすがの彼も足を止め、後ろを振り返った。
「…。」
「やっと、追いつけた。」
立ち止まった彼を前に、彼らは乱れた息を整えていく。
「何で…何でそこまでして。」
「…。」
彼らの質問に対して、彼は俯いたまま何も答えない。その心に、焦りと苛立ちを持ちながら。