43-悩めるお年頃
今回はほぼ会話文のみです。
後悔はしたくないものですね。
空を見つめて何気ない会話をした
―将来のことって考えてる?
将来?突然どうした
―だって来年になったら卒業するから
まぁな、あと一年か早いなぁ
―だから将来のことって考えてたりするかなって
勉強を続けるか、仕事に就くか……うーん
―やっぱやめようこの会話
何だよ?振ってきたのはお前なのに
―怖いから…考えるの
……夢は?
―え?
だから夢だよ夢!子供の頃に何になりたいって言ってた?
―この話やめようってば、それに子供の時の夢なんてくだらないし…
俺は消防車になりたいって言ってた!
―は?何それ!消防車って車じゃない
笑うなよ、でもホントにバカだよなー
―子供なら言いそうな事ね
でも今も消防車になれたらって思ってる
―本気で?
本気と書いてマジと読む!…親父みたいになれたらって
―消防士になれば良いんじゃないの?
うーん…それだと違うんだよ。親父と肩を並べたい訳ではないし…あー
―誰かの力になりたいとかそんな感じ?
そんな感じか?誰かを救うために命を掛ける人の助けになりたい、みたいな
―難しいと言うか、ややこしいと言うか
それは自分でも自覚はしてる。
―怖いの?
……怖いって?何がさ
―誰かの力になりたいとは思うけど、もしも、万が一、下手をしたら…失敗、それが怖いの?
…それすごく痛い
―本当にすごいわよね。現場の最前線に立っている人って
……
―どうしたの?急に黙って
いや、親父にどうして消防士になったのか聞いたことないなと思って
―今度聞いてみたら?
だなー、でさ
―何?
お前の夢は?
―もういいって言ったじゃない
俺にだけ語らせる気かー
―勝手に語りだしたのはそっちでしょ
忘れてなかったか
―忘れるわけないでしょ
……
―また黙るし、今度は何なのよ
……
―わざわざ紙に書くのね。私が話すまでしゃべらないとか、本当にバカね
……
―ピアノの先生よ
へぇ、いいじゃん
―何がいいのよ、これこそ現実見なさい。消防車よりはマシだけど
うるせ、お前にすごくあってると思うけどな?
―それはありがとう。でも実際音大に進むのにはお金掛かるし、卒業できてもちゃんとやっていけるか分からない職なんて今の時代ダメね
やってみなけりゃ分からないだろ?
―それはそうだけど、私にそれほどの才能があると思う?本当にダメだったらどうするのよ。保険の効かない懸けなんてするものじゃないわ
つまりお前も俺と一緒ってことだな
―どこが?あんたほどバカじゃないわよ?
…そこじゃねえ!おつむの話じゃねぇよ!てか俺もそこまでバカじゃねぇ!
―うるさい
人がせっかくシリアスに進めようとしてるのに……お前も失敗を恐れてる。俺と一緒だろ?
―……
と言うか、世の中俺たちと一緒のやつらの方が絶対多いだろ。将来なんて誰にも分からない、そして行動しなけりゃ何も動かないし、失敗はしないが成功もあり得ない。俺たち生きて何年だよ。じいさんばあさんに比べたら米粒程度だぞ。今何をするのが正解か…あえて言うなら悩むことじゃね?
―…悩むのが正解なの?
そうだよ、悩んで悩んで悩んで行動するんだ。だが、失敗を考慮して悩むなよ?それじゃ意味がない。行動するために悩むんだ。より効率のいいなりたい自分になれる方法を
―何になりたいか分からない人は?
そうだな、とりあえず勉強してバイトして部活していろいろ経験してみろ。体を壊さない程度にな。やりたい事とかなりたい自分にいつ気づくかは個人差があるもんだ。来年の卒業までが別にタイムリミットっていうか訳じゃないだろ。答えが出るまで親に甘えればいいんじゃないか?それとさ、手に職を持つことは重要だとは思うが、何にも持ってなくても何かしらの職には就けるし生きていくことは簡単だ。歳を取ってからやりたいことに気づいても遅くはないさ。今の時代超高齢社会だぜ?若者に混じってばあさんが頑張ってても変には見られないだろうし
―だんだん何の話だか分からなくなってきたんだけど。要は思考と行動を止めるなってことね
そーいうこと。
―将来なんて分からない
結果は自分で導くものだと俺は思う
―どや顔うざい
何とでも言いやがれ!
―ありがとう
…ん?
―二度も言わないわ。ネガティブな自分がアホらしくなってきた
世の中笑顔で生きたもん勝ちだろ
―そうかもね。うん悩むわ、名一杯、ものすごく、でもポジティブに!
おうおう、そのいきだ!
―将来お嫁さんになるのも手だし?運命の出会いとか在るかもしれないし!
……すげーポジティブ思考になった
失敗は成功を生み
成功は失敗を生む
どちらも行動しなければ生まれることもない
それが人と言うものである