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40-大人になる


風がたくさんの声を連れ来た

僕はどれ信じたらいいのか周りの大人に尋ねた

大人たちは言う

「そんな声は聞こえない」と

確かに聞こえると主張しても

ある人には聞き流され

ある人には気味悪がられ

ある人には無視された


どうして誰も信じてくれないのか

「証拠はあるのか」

その言葉を大人たちはよく使う

目に見えないものを信じない



僕に尋ねる子供がいた

「ねぇ、このささやきはなあに?」

僕は答える

「そんなものは聞こえない」と

子供はめげずに言い返す

聞き流していたら気付いた時にはいなくなっていた


僕は思い出す

あの頃を

大人たちに信じてもらえなかった自分を

僕と全く同じ反応を見せた大人たちを



全ては繋がっている

子供のころの純粋な心は

大人になった時にはその面影すら見えない

今の自分のように否定するから


もしも

もしもの話だ


あの声を信じてくれる大人に出会えていたら

あのころの心を残せたのかもしれない

あの声と知り合えたかもしれない

あの子供を否定することがなかったかもしれない


全てはたとえ話でしかない


子供は大人を見て育つ

純粋なままでは生きていけない

その現実をあえて子供に見せるのか

自分が気に入らないからと他人を叱る姿を見せるのか


風がたくさんの声を連れてくる

良い言葉も

悪い言葉も

子供たちは全てを耳に入れる

分からないから尋ねる

大人にとっての常識も

子供にとっては初体験で



子供にとって大人は見本だ


たとえその大人がろくでもない奴でも


僕の性格もあの子供が僕のようになろうとも

全ての責任は

あの頃の大人たちにある



そう思うし

それが責任転換でしかないことも知っている。


今ここにいる僕が現実であることは変わらない。


ただ、いい大人に出会えていたらと思っただけだ。


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