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36-零から
一から始まった自分の人生
百と言う終わりが見えてきたときに
始まりが一ではなかったことを思い知った。
自分と言う存在が生まれる前から世界は存在し
人々の出会いが世界を紡ぐ。
始まりは
‘零’
つまり自分を含めた誰もが何もない無から創られた。
それを人々は運命と呼ぶ。
自分の終わりが見えるときになって初めて零を知り
今までの思い出をゆっくりと遡る。
両親がいたから自分という存在があり
あの人がいたから自分も世界を紡ぐ一人になった。
…世界は紡いだが自分は独りになった。
始まりがあるから終わりがある。
それが世界の理であり
零を創りだすことができる自分たちに与えられたもの。
笑顔がこぼれる
これからも零が創られ
世界は続いていくと
自分は知っているから。
生まれ変わってもそれは変わらないから。
また出会えることを信じているから。




