26/46
27‐飛べないカナリア
自由というものを私は知らない。これが当たり前で普通だから。
ただ、思うことがある。あの広いものは何だろう、色が変わる。もっとよく見たいと思った。
一度考え始めると止まらない、不思議な感情だった。
ガチャガチャと変な音が聞こえてきた。本能が危険だという。
あの人は明るい時間はいない。知らない人影が見えてきた。
一瞬だった、思いっきりなぎ倒されて視界がチカチカとしている。体に力が入らない、そのままそっと目を閉じた。
ほんのりとした温かさを感じて目を開ける。それは彼女の手のひらだった。温かさに浸っていると違和感を感じた。
手が…動かない…
ただ悲しくはなかった。これは自分への罰だったのかもしれない、あの広いものへ憧れを抱いてしまったから。
酷く苦しいのは、あなたは美しいと誉めてくれていた。だからすごい誇りだったのに。
「ごめんなさい」
ワタシは寂しく恋しく謝るように、鳥かごの中でなき続ける。
そして静かに思考を閉じた。
美しい歌声を響かせた彼女は飛べないカナリア