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25‐誰でも構わないから
本当は知っていた。その存在は意味をなさないことを、疎ましくさえ思われていたことを。
理由がない
ただそこに存在し続ける。
誰でも構わないから消してくれ。
それさえも手を伸ばされることはなかった。自分では決められない、思考はできても所詮は考えるだけ思うだけ、動かせる手足がない。
いつからここにあるのか。いつ消えることができるのか。
誰もが忘れることができたら存在というものも消えてしまうだろう。
願いとは裏腹に受け継がれていく。償うこともできず。
たったひとつの過ちを犯した罪人は、人の思考にいつまでも遺され、安らかなときを迎えることはけして許されなかった。
罰を与えられないこと以上に残酷なのは、人の記憶から消えることがないことだろうか。
死してなお安らぎは来ない。




