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24‐彷徨う
迷い込んだ小鳥は出口を見つけることなく迷宮を彷徨った。
思い返しても何もない。
いつからここにいるのか、彷徨って彷徨って、歩みは止まることなく疲れも知らない。
綺麗な翼を懸命に動かして、ただ進んでいく。
少しずつ何かが壊れていく音が聞こえていた。
時は進んでいるのだろうか。
自分という存在が分からなくなる。
そもそも自分は進んでいるのだろうか。
白い空間が侵食し心を解かしていく。
この音は――――自分が壊れていく音だ。
気づいたときには砂のように解けていった。
五感すべてが失われ、私という存在はない。
好奇心は己を亡ぼした。
どこまでも行けると信じていた翼は、所詮造られたもので
自分ならできると思っていた心は世界にとってはちっぽけなものだった。
こんなことなら、今までで満足しておけばよかった。
そう後悔することも到底無理な話だ。