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19‐世界を愛しすぎた少女
〔世界を愛しすぎた少女〕
少女はいわゆる神の愛娘、不思議な能力を持っていたがその事を知るのは神のみ、能力の使い方も制御の仕方も知らない少女は自らその身を滅ぼした。初めは目の前の子供の怪我をかわいそうに思い手当てした。子供はたちまち傷が治り去っていった、しかし少女はその場から動かなかった否動けなかった。子供の傷は少女へと移り、ただ少女は痛みなどない傷に驚くのみだった。別の日には近所のおばあさんが足を捻挫してしまったことを知り見舞いに行くと少女は足を引きずった。少女の両親はいつものことだと特には気に止めていなかった、少女の目が見えなくなるまでは。盲目の少女はそれでも他人に優しかった。少女は女性へと成長したが彼女の心は美しい暗闇のまま
少女はただ幸せになってほしかっただけ、それは彼女の純粋すぎる欲であり叶うはずのない夢だった。
神は言った。
「彼の人は最早美しくはない」
神の求める純粋とはどのようなモノだったのか。
幼かった少女は両親に見守られながら永い眠りに着いた。
「私はそれでも満足でした。」




