表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
行方不明なキミをシる  作者: 氷雨 ユータ
1st BRD 知らないクラスメイトのハナシ
1/8

優麗少女はキミの傍

守命(しゅめい)君なんて大っ嫌い!』

 好きだった女の子ではない。嫌いでもない。ただ小学校の鬼ごっこで揉めただけの話だ。この後に尾を引いて連鎖的なトラブルが発生した事実もない、何なら発言した女子はこの事すら覚えていないだろう。クラス全体で遊んでいた時の一幕なんて誰も気にしない。殆どの場合は加害者も被害者も『そんな事があったね』か『あれはマジ最悪だった!』で終わらせるだろう。最悪という言葉は文面だけだと怒りしか伝わってこないが、実際のところは言外に『ツイてない』程度の注釈がある。

 俺は、違った。

 神坂守命(かみさかしゅめい)にとってその発言の何がクリティカルだったのかは遠い昔となった今ではもう分からない。確かなのはその一言をきっかけに俺は女性に触れなくなった事だけだ。冷静に考えれば鬼ごっこでタッチしようとして靴紐がほどけたからタンマなどという自分ルールを持ち出した女子に非があるのかもしれない。だがこの際どちらに非があったかなんて些細な話だ。

 その一言が、俺に接触を『禁忌』だと思わせた。

 高校から色気づいた同級生達が次々交際していく中で、俺だけが潔癖症のように最低限の関与に留めた。俺のトラウマを知る友人は『意識して徹底的に接触を避けるなんて気がおかしくならないのか』とも心配してくれたが、大丈夫だ。グループ分けでは優先的に男子を探せばいいし、授業中には落とし物をしないよう最初からポーチの中にでも入れてそれを固定すればいい。部活は……一人でも出来る部活に入部すれば良かった。

 幸いうちにはそんな部活があった。森芽(しんが)高校深夜放送部。通常の部活とは違い深夜に町内に向けて放送をしなければならない。山に囲まれた町だからこそ許された部活であり、放送はスピーカーではなく各家にある専用のラジオから流される。学校設立当初から存在していた部活であり入学から卒業までに所属出来る人数は二人まで。三年生が卒業したのをきっかけに俺はそこに飛び込んだ。女子と身体的接触をする状況に偶然でもなりたくないのもそうだが、もう一つ。


 俺の目には、唯一触れる女の子が映っている。


 人ならざるナニカ、俺と一緒に成長するせいで中学に入るまでその存在が他人には見えないと分からなかった幼馴染。弓水一魅(ゆみずひとみ)。今日も何処かの電柱に捜索願を貼られる、行方不明の女の子。

 





 彼女を見つけたくて。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ