9.変化
デイダラボッチに襲われて以降、私は妖力トレーニングに励むことにした。まずは妖力を使うことに慣れる。そして、いついかなる時も平静を保ち、妖力の揺れを発生させないこと。
後者のために出来る事を考えた私は修行僧のような生活を送る事にした。
まずは早寝早起き、そして適度な運動と瞑想。これこそ、あらゆるトラブルに動揺しないためのハート作りだろう。
朝。アラームの鳴る前に目が覚める。伸び、そしてストレッチをして登校の用意をする。朝食を終え、早めに家を出る。教室にはほとんど人がいなかった。
「おはよー!かえでっち!早いねー。」
隣の席の純麗ちゃんが朝早くから元気な挨拶をくれる。
「おはよう。純麗ちゃんはこれから朝練?」
「そっ!あっ!聞いてよ!うち、レイアップめちゃ入るようになったの!」
「おー。凄いね。」
「まっ。2点だけどね。やっぱスリーポイント決めれるようにしたいなー。」
バスケに馴染みはないので、頭の片隅にある知識を引っ張り出す。
「スリーポイント…バスケって遠くから打っても3点が限度なんだっけ?」
「そそっ!」
「ハーフコートから打ったら5点ぐらいになれば良いのにね…。」
「確かに!で、相手コートからは10点とか!」
「いいね。それ。」
現実的に考えればワンゲームになってしまう可能性もあるので、そんなことはあり得ないが。
なんて他愛もない話を終えると、純麗ちゃんは朝練へと向かっていった。
***
朝の時間、そして1限目が終わる。次の授業の用意を終えると、私はすぐに筆ペンと紙を取り出した。
「?かえでっち。何してんのー?」
「写経だよ。」
「しゃきょー!?」
驚く純麗ちゃんを他所に、私は靴を脱いで椅子へ正座する。そして心を落ち着かせてお手本通りに写経を始める。
「な、なんでしゃきょー!?かえでっちおぼーさんになるの!?」
「う、ううん。ただ心を落ち着かせるためにやってるんだ。」
「なるほどねー。………うちもバスケの試合中にやろっかな。くればーな試合できそーじゃん?」
「その発想はクレバーじゃないかも…。」
「えー。いい案だと思ったのにー。まっいいや。今度やってみよー。」
もし本当にやるというなら、ぜひともその試合を観戦したいと思う。きっと相手選手も驚くに違いない。
そう思いながら写経を続ける。これを休み時間ごとに行い、より心を静めるトレーニングに励むつもりだ。




