4.生徒会執行部
「し、失礼します。」
生徒会執行部と書かれた札をかけられた扉を開ける。
中にはU字型の机が置いてあり、数人の生徒がいた。その中には入学式に在校生代表として挨拶した先輩の顔もあった。
「どうも。こんにちは。………もしかして入部届?」
「は、はい。その、よろしくお願いします。」
「よろしくね。そう固くならなくて大丈夫。じゃあ、この紙を持ってそこに座って。」
生徒会長に言われるまま、指定された席に座る。
席の隣には既に生徒が座っていた。短く切りそろえた黒髪に鋭い瞳。その人は、今朝出くわした男子生徒だった。
「…………君、生徒会に入るんだ。」
「そ、そうだけど…。」
「ふぅん。………向いてないと思うけどね。」
「なっ!?」
突然の物言いに驚きと怒りが出る。
「きゅ、急に話しかけてその物言いはないんじゃないかな?」
「別に独り言。」
「独り言にして大きいと思うけど…!?」
あと少し食ってかかろうとしたものの、生徒会長の咳払いで我に返る。どうやら説明会を始めるようだ。
「みんな。今日は集まってくれてありがとう。早速だけど活動内容を説明するね。基本的に僕たち生徒会は行事の取り仕切りやサポートをするんだ。それだけじゃなく、他委員会の手伝いもね。………直近ではあいさつ運動があるかな。……兎に角、みんなで頑張ろう。」
それから入部届の書き方等を話し、説明会は終わった。私はすぐに受け取った入部届を書いて生徒会長に渡す。そして教室を出た。
不運にも先の男子生徒と同時に教室を出てしまった。彼は私を追い抜くことなく、何故か隣を歩く。
教室にいた生徒は残って駄弁っているらしく、廊下には私達の姿だけだった。
「そ、そういえば、貴方も妖怪見えるんだね。」
「酒呑童子の血が入ってるから。」
「へ、へぇ。凄い。……あっ。そういえば自己紹介してなかった。私、山吹楓。よろしくね。」
「……………あぁ、そう。」
此方の自己紹介に特に反応も示さない男子生徒。
自己紹介をされたなら、自身も返すのが常識ではないのだろうか。私はつい意地になって言う。
「………貴方の名前は?」
「なんで言う必要あるの。」
「な、なんでって…私、名乗ったから…。」
「勝手に名乗ったんでしょ。」
「勝手に…!?だ、だって、同じ部活仲間でしょ?名前ぐらい教えてくれてもいいじゃん。」
「…………はぁ。僕は荒井千里。1年1組。これで満足?」
「ま、満足だけどもっと言い方があると思うよ…。」
私の指摘を意にも返さず、荒井くんは歩く。確かに純麗ちゃんの言う通り無愛想だ。オマケに目つきも悪いし、折角顔が良くても人が離れていってしまいそうだ。
そんなことを思いながら、高校初日を無事に終えるのだった。




