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最弱妖怪娘の学園生活  作者: とんぼ。
学校生活編

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35/39

35.海にて

 テストも無事に終わり、いよいよ夏休み。私はというと海へ来ていた。理由なんてのは単純で、海に行きたいから来たのだ。とは言っても一応、それ以外の理由もある。

 私に流れる座敷わらしの血。幸運を呼ぶ血のお陰で私は勘がいいのだ。つまり、私が行きたいと思った場所でトラブルが起きる可能性が高いということ。


 トラブル。具体的に言えば異変のある妖の狭間はざまが発生すること。それに対処するため、海へやって来た。隣には妖怪退治仲間の荒井あらいくんもいる。彼は半袖のパーカーに海パンを履き、忌々しく太陽を睨み言う。


 「で。よう狭間はざまはどこらへんに発生するわけ?」

 「えーっと…う、海の真ん中…あたり…?」

 「…………本気で言ってる?」

 「私の勘がそう言ってるの!……もしかして、荒井あらいくん。海嫌い?」 

 「別にそういうわけじゃないけど。ただ、戦闘になったら海上じゃ不利でしょ。」 

 「確かに…。」

 

 てっきり泳げないのだと思ったが、よく考えてみれば荒井あらいくんの運動神経はかなり良い。泳げないので海が怖い、とはならないだろう。


 「ボートでも借りてよう狭間はざまが発生する所に行くよ。」

 「う、うん。分かった。」


 荒井あらいくんについていき、浜辺に建つ海の家を訪れる。彼は慣れた様子でエイの形のビニールボートを借り、早速海へと向かった。

 

 まずは浅瀬へボートを浮かべる。水色のビニールへ乗り、落ちないようにバランスを取る。


 「?荒井あらいくんは乗らないの?」

 「僕は押していくから。君より体力あるしね。」

 「そ、そっか。じゃあお願いします。」


 こうしているとカップルのように思われるだろうか。なんてよぎったが、荒井あらいくんの平然とした態度で勘違いされることはないと思い直す。


 荒井あらいくんは宣言通りエイのボートを押しながら水深が深いであろうところまで行く。そしてある程度進んだ瞬間に、ビーチにいた人々や付近で泳いでいた人影が無くなる。よう狭間はざまに転送されたのだ。


 「!荒井あらいくん!」

 「うん。来たみたいだね。……いつ妖怪に襲われるか分からない。警戒して。」

 「分かった。」


 頷き、拳を握る。ここは水の上。何かあったら私達は圧倒的に不利だ。

 小さな波が白く、太陽の光を浴びて輝く。些細な変化でさえも見逃さないように目を見張っていると、ふと声が聞こえた。


 「………?なにか、聞こえる。歌…かな…。」

 「僕達以外にも人間が…、っ!?」

 「!?荒井あらいくん!?」


 いい終える前に、荒井あらいくんが水飛沫を立てながら水中へと行ってしまう。自発的に行った、というよりあれはまるで水中の何かに引き摺られたかのようだった。


 「まさか、水中に妖怪が…。」


 ボートから身を乗り出し青い水を覗き込む。決して透明でない水はその奥底を明らかにはしなかった。

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