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最弱妖怪娘の学園生活  作者: とんぼ。
学校生活編

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29.カラフルメモリー

 休み時間。私は職員室を訪ねることになっていた。というのも、提出すべき課題があったからだ。

 教科ごとに生徒が教科委員を務めており、課題の回収も行うのだが生憎担当の生徒は片方が休み。そしてもう片方は呼び出しをされてしまったのだ。


 「ごめん!山吹やまぶきさん!」

 「いいよ。呼び出されたなら仕方ないもん。ちゃんと提出するから安心して。」

 「ありがとう!今度ジュース奢るね!」


 そう言って教科委員の生徒は走っていった。ジュースの奢りは嬉しいが、少し大袈裟なような気もしないではない。まぁ、もらえるというなら貰ってしまうが。


 気を取り直し職員室へと向かう。扉をノックし、開ける。


 「失礼します。1年3組の山吹やまぶき かえでです。大里おおさと先生に用事があって来ました。」

 「はい。どうぞ。」


 出入り口のすぐ側から声がした。そこに大里おおさと先生のデスクがあったのだ。


 「課題ですか。」

 「はい。教科委員の子が呼び出されていたので…。」

 「なるほど。ありがとうございます。」


 束ねたプリントを渡す。これでしっかり代わりは果たせたはずだ。


 大里おおさと先生のデスク上には何やらアルバムらしいものが広げられていた。中には制服姿の生徒が。私達の学年ではないようなので、卒業生だろうか。


 「それ、アルバムですか?」

 「えぇ。たまに、こうして見返すんです。………私、写真が好きなんですよ。こうして見返せばその日あった出来事とか、写った人のこととかを思い出せるので。」

 「へぇ。私も写真好きです。風景のとか、特に。観光したら絶対写真は欠かせません。」


 私の言葉に先生は少し声を抑えて言う。


 「私、実は人が写っている写真の方が好きです。」

 「へぇ。どうしてですか?」

 「そっちのほうが見ていて楽しいと感じるんです。あぁ、この人はこの時、とても喜んでいたんだなんて思って。………映画を見るのと同じなのかもしれません。私は、多分写真に感情移入しているんです。」

 「なるほど…。変わってますね。先生。」

 

 映画と写真が一緒、という発想は無かった。というか、そもそも、写真に対してそれほど思いを馳せることがなかった。たまに見返すことはあるが、それは片付けをしていて出てきたからだとか、そういう理由だ。

 自ずとアルバムを広げて見返す、ということはなかった。


 「山吹やまぶきさんも、是非いろんな写真を残して、そしていつか見返してみて下さい。そうすれば写真を撮ったその日の、その感情を思い出せますから。」

 「はい。…………なんというか、やっぱり先生はお年寄りみたいなこと言いますね。」

 「そうですか…?」

 「はい。今のも、祖父母が言いそうな言葉でした。」

 「私も、もう年なのかもしれませんね…。」


 先生は感慨深そうに呟く。それほど年老いては見えないが、特別感性が年老いているのだろう。そう思い、私は職員室を出た。

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