27.休日の彼女
ゲームセンターからの帰り道。昼過ぎの雑多な駅を抜け、家を目指す。
駅から家までは歩いて数十分。都会というわけではないので、歩けば田んぼがすぐに現れる。
水の張った田んぼをみて歩くと点々とした建物のうち、ひとつから見知った顔が出てきた。
「あれ?純麗ちゃん。」
出てきたのは友人である純麗ちゃんだった。彼女が出てきた建物は小さな個人経営の病院だった。薬局と見間違えるほど小さく古い白い病院。そんな場所から純麗ちゃんが出てきた。少し、嫌な予感がする。
「純麗ちゃん。………どこか、悪いの?」
「!かえでっち!」
純麗ちゃんは私に気付き、はにかむ。
「悪い?うちが?なんでー?」
「………病院から出てきたから…。」
「あははっ。違うよー。膝痛かったから診てもらっただけ!成長痛だって言われたけどね!」
「そっか…。良かった…。」
私の勘はよく当たる。それが座敷わらしの血のおかげか、どうかは知らない。だが純麗ちゃん本人は大丈夫だと言っているのだ。きっと大丈夫のはず。
「かえでっちはおでかけ?もしかしてデート?」
「ち、違うよ。その、ゲームセンターに行きたかったから行ったの。」
「へぇー。ゲーセンに?なんか取ったの?」
「ううん。何も。」
「えーもったいない!そーだ!うちがなんか取ろっか?得意なんだよね!」
そう言う純麗ちゃんの鞄には沢山のマスコットが引っ付いていた。小さな鞄に沢山付いているので、肝心の鞄本体は隠れている。
「嬉しいけど…この後予定とか、大丈夫?」
「あー。ないからヘーキヘーキ!じゃっ、いこ!」
「うん。」
来た道を引き返し、ゲームセンターへ向かう。やはり、休日は友人と過ごしてこそだ。
あれほど耳障りだったゲームセンターの音も、純麗ちゃんと来ると気にならない。
「なんか欲しいのある?」
「うーん。特にないんだよね…。どうしよう…。」
「あっ!なら、このお菓子取ってあげる!見てて!!」
そう言って純麗ちゃんは百円を筐体へ入れる。
アームを動かし、積み上がったお菓子の近くへと寄せた。そしてそのままお菓子のひとつをつまむかと思えば、アームのツメをひっかけお菓子の山を倒す。
「!!す、すごい!」
倒れたお菓子達は各々下へと落下する。あまりの量に取り出し口が詰まりそうだ。
純麗ちゃんは近くの両替機うえにあった袋を取ってきて、取り出し口にあるお菓子を詰める。
「へへっ。すごいでしょ?」
「うん!百円でこんなに取れるんだね…!」
「まっ。うちの実力だよ!…………それと、内緒だけどこの時間帯ってなんかこの台設定甘いんだよね。」
「へー。そういうのあるんだ…。」
感心しながら、私は純麗ちゃんから分けてもらったお菓子を受け取る。当分、おやつには困らなそうだ。




