表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最弱妖怪娘の学園生活  作者: とんぼ。
学校生活編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/40

23.妖力トレーニング②

 待ちに待った休日。私はバスを1時間ほどいった先の山奥へと来ていた。ハイキングの為ではない。妖力トレーニングの為だ。

 

 ここ最近、対象の動きを止める『かい』の練習をしているのだが、まだまだ効力は薄いと感じる。分かりやすく言えば、私ならきっともっと出来るのではないか、ということだ。

 今回、練習場に山を選択肢たのには理由がある。それは、妖力を使っているところを見られたくないこと、そして『かい』を使いたい対象が丁度あること、だ。


 対象というのはズバリ、木々から落ちる葉っぱ。勿論、ひとつではない。はらはらと沢山落ちていく木の葉。それの動き、全てを止めるようにしたいのだ。


 「よーし。行くぞぉ。………『かい』!」


 ひとり叫び、全ての指を組む。すると、風で下へと落下する木の葉が動きを止めた。

 が、止まったのは数にして2,3個。全てではなかった。


 「だ、だめかぁ。……もっと心を落ち着かせないと…。」


 妖力の使用には心の揺らぎに注意する必要がある。私は深呼吸をして、森に漂う木の匂いを目一杯かぐ。


 「すぅ。……よし。もう一回。『かい』!!」


 先よりも動きが止まった木の葉は増えた。しかし、やはり全てとはいかない。


 原因もよく分からないまま、とにかく『かい』を使用し続ける。

 それが何10回目かに達した頃。気力も尽き始めたのか、疲れを感じてきた。


 「はぁ、はぁ、はぁ。」


 妖力を使う感覚は運動をしたあとの感覚とはまた違う。強いて言えば、受験前の緊張感がずっと胃を支配し続けるような、そんな感じだ。

 理論的に表現するならば交感神経が強くはたらくのだとか。それにより脳も疲労していくらしい。


 少し息が苦しくなってきた。


 「はぁ、はぁ…。か、『かい』」


 はじめと比べ、随分弱々しく唱える。流石にこの状態では碌な効果も見込めないだろう。そう思っていた。

 しかし、目の前で落ち行く木の葉は、その全てが動きを止める。


 「!?え!?な、なんで、」


 これほど疲れた状態で唱えたというのに、何故効果を発揮したのだろう。

 しばらく考える。先程までとどう状況が違うのか。そうすると、ふとあることが思い浮かんだ。


 「……………もしかして、力み過ぎてたのかな…?」


 思えば『かい』と唱えるときはいつも、なるべく大きな声ではっきりとした発声を心がけていた。それが所以して、満足な効果が出なかったのかもしれない。

 予想も立てられたところで、もう一度。そう思った矢先、頬が冷たくなる。


 「あ…。雨だ。」


 上を見上げると水滴が顔に落ちる。雨だ。


 急ぎバス停へと移動する。まだバスは来ない。近くには屋根付きの停留所があった。

 移動の際少し濡れてしまったが、風邪を引くほどではないだろう。


 ベンチに座ると、足音がした。誰かが後ろから屋根のある下へとやって来たらしい。


 「大里おおさと先生。奇遇ですね。」


 現れたのは大里おおさと先生だった。先生は傘を閉じ、いつものような笑顔で言う。


 「山吹やまぶきさん。奇遇ですね。もしや、ハイキングですか。」

 「は、はい。そんなところです。…………?先生?」


 大里おおさと先生は私の答えを聞いたあと、突然着ていたカーディガンを脱ぐ。


 「山吹やまぶきさん。これを着ていてください。私ので申し訳ないですが、無いよりかは。」

 「え…。あっ!も、もしかして、その、」

 「……………はい。山吹やまぶきさんの着ているシャツが白いせいですかね…。」


 急いで先生のカーディガンを受け取る。小雨だったとはいえ、どうやら私の下着が透けてしまっていたらしい。なんとも恥ずかしい。

 そして先生も申し訳なさそうに頬を掻く。


 「あ、ありがとうございます…。」

 「いえ。………これ、セクハラになってしまいますかね。」

 「な、なりませんよ!セクハラにはしませんから!」

 「それなら安心です。私、まだ教師をしていたいので…。」


 こんな何もない山奥で何をしていたのか。踏み込むことは何故か躊躇われた。


 詳しいことは聞かないまま、私と先生はバスを待つのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ