20.もうじき中間テスト
6月に入り、ジメジメとした空気が周囲に淀む。空は灰色の雲に覆われ、今にも雨が振り出しそうだった。
何とも憂鬱な気分になるが、その気持ちは天気だけが理由ではない。
「そろそろテストかぁ…。」
朝のホームルーム前。自分の席でため息をつく。
すると隣の席の純麗ちゃんが頭をガシガシとかいて喚く。
「あー!サイアク!うち、テストってキライ!」
「そうなの?………ちょっと意外かも。」
純麗ちゃんは何事にも全力。楽しむためには苦労もじさないといった感じの人だと思っていた。その為、中間テストもそれはもうウキウキと心待ちにしているのだとばかり。
「えー?意外?もしかして、うち、とんでもない天才に見えてた?」
メガネをかけるジェスチャーをする。
「うーん。天才には見えないかな。でも、何でも楽しむものだと思ってたから。ほら、体育祭とか楽しんでたし。」
「それはそれ!これはこれ!べんきょーはさ、体動かすわけじゃないじゃん?だからとちゅーで飽きるんだよね。体むずむずしちゃって。」
「でも、授業中はちゃんと席に座ってるよね。」
「そりゃそーだよ!ホントは走り回りたくなる時もあるけどさ!特に数学!わけわかんない数字出たら校内一周したくなる!」
「………………もしそうなったら止めるよ…。」
友人を問題児にするわけにはいかない。もし、純麗ちゃんが教室を飛び出して走り回ろうとするのなら、私がしっかり押さえつけよう。そう、心に誓う。
「そういえばテスト勉強の計画は順調?」
私はクリアファイルから1枚の紙を取り出す。そこには6月の日程と、その日のうちにやる勉強内容が記されていた。
青柳高校ではテスト前に、こんな紙が配られて各々計画を立てるのだ。
「けーかく?あー。じゅんちょーじゅんちょー。」
「………………本当?」
「ホント!ホント!まぁ見てみなって!」
そう言って純麗ちゃんは自分の計画表を差し出してくる。
そこにはスカスカな日程が記されていた。スカスカ、というか真っ白というか。そのかわり途中からはびっしりと予定がかいており、1日の勉強時間が16時間にもなっていた。
「む、無謀すぎる…。」
「えー?でも、睡眠時間は8時間とってるよ?」
「逆に言えば睡眠時間以外は取ってないよね…。ご飯の時間とかお昼の時間とか…。」
「あっ。」
「……………純麗ちゃん。今からでも間に合うよ。計画、立て直そっか。」
流石にこのままではまずいと思い、一緒に計画を立て直すことにした。
高校最初のテストが赤点だなんて、縁起でもない。それだけは避けたいと願って。




