2.入学式
「皆様。高柳高校へのご入学おめでとうございます。」
校長の挨拶が体育館に響く。蜘蛛の妖怪に襲われはしたものの、入学式へはなんとか間に合ったようだ。
「貴方がたはこれから3年間、この学び舎で苦楽を共にするでしょう。ですが、決して恐れることはありません。私達教員が、そしてまだ見ぬ級友がいるのですから。」
熱のこもった感じの校長の話しは三十分ほど続いた。予定より押していたためか、進行の女教師が無理に話を遮り話を止めてる。
「校長先生、ありがとうございました。続いて在校生代表、」
在校生代表の生徒はそんな校長に対して申し訳なさそうに壇上に立つ。入学式はまだ続くようだ。
***
「な、長かったぁ…。」
入学式後、教室へ移動する途中に口からついため息が出てしまう。
「だよねだよね!」
「!」
突然かけられた声に驚き後ろを振り向くと、スタイルのいい女子生徒がオレンジ色のポニーテールを結びながら歩いていた。
「あっ!突然ごめん!ただ、うちも入学式が長いって思ってたの!」
「う、ううん。大丈夫。やっぱり長いって思ったよね…。……私、山吹楓。……おんなじクラスだよね?よろしく。」
「かえでっちね!よろしく!うちは岬ヶ崎 純麗!」
かえでっち。と早速あだ名をつけられてしまった。なんだか少し恥ずかしいが、純麗ちゃんほど明るい子なら照れることはないのだろうか。
「てかさてかさ、見た?こーちょーの頭!」
「頭…?ううん。見てないよ。」
「マジ!?凄かったよ!あれ、絶対良いワックス使ってる!」
「そういうの、見てわかるの?」
「もち!うち、シャンプーとかリンスとか髪のじょーたい見ただけで分かんだ!」
「す、凄いね。それ…。」
「へへっ。まーね!」
純麗ちゃんは嬉しそうに鼻をかく。すると、何か思い出したかのようにあっ、と声を上げた。
「そーいや!今年、とんでもないイケメンが入ったらしいよ!」
「そ、そうなの…?」
「なにー?かえでっち、きょーみなし?でもすんごいイケメンらしいよ!ただ、あいそは無いんだって!」
「へぇ。………だとしたら、怖いから近づけないかな。」
「まっ。腹立つしね!あいそー悪い人ってさ!」
愛想の悪い人といえば今朝会った少年が思い浮かんだ。そういえば彼も同じ紺のブレザーだった。もしかすると噂の人なのかもしれない。だが、私が関係するところではないだろう。
何はともあれ友人ができたのだ。不思議な特技を持つ純麗ちゃん。砕けた口調だが、悪い人ではなさそうだ。初めての友人も出来たことだし、これからの学校生活に期待を寄せて教室へと移動する。




