17. ショッピングモールにて
休日。今日は学校もなく、ゆっくり出来る日。だというのに落ち着かないのは、私の中に流れる座敷わらしの血のせいか。
「…………無性にショッピングモールに行きたい…。………あっ。荒井くんに教えなきゃ。」
そういえばと思い出す。確か荒井くんが言っていた。私に流れる座敷わらしの血が、異変のある妖の狭間を知らせてくれると。
故に1ヶ月に1回、何処かへ出掛けようと思い立った時に連絡するようになったのだ。
スマートフォンの電源を付けてメッセージを送る。
『荒井くん。多分、ショッピングモールに妖の狭間が発生するかも。』
数分すると返信が返ってくる。
『分かった。すぐに現地集合。』
簡素な返信はまさしく荒井くんらしかった。他に何か言うことはないのかと思わなくはないが、ともかく今は出かける用意をしなければ。
寝間着から着替えて髪を梳かす。動く可能性もあるので、シンプルなパンツにシャツとカーディガンを着る。もしやこれはデートになるのではないかと思ったが、恐らく荒井くんはそんな考えに至らないだろう。
そう思い、家を出る。
***
駅に行き、バスへ乗る。乗り継ぎをすることなく、45分ほどでショッピングモールへは到着した。
ショッピングモールには出入り口が複数あるが、バス停から近いところに既に荒井くんは立っていた。
制服姿ではない彼は何だか新鮮だ。フードのついていないパーカーのような分厚い生地の服に、ジーパンスタイル。らしいといえばらしいが、面白みはなかった。
「で、具体的にはどの辺り?」
開口一番、彼はそう言う。
「うーん…。多分中かな…。それも上の方。」
「じゃあ案内よろしく。」
「うん。」
言われるがまま、店内へ入る。
ショッピングモールは5階建てであり、それぞれ衣料品店、スーパー、雑貨屋、保険屋等々様々なテナントが点在していた。私達がエスカレーターで向かう先は3階。衣料品店と生活用品が売っている階だ。
前後にエスカレーターへ乗る。1階から3階まで、ただ沈黙というのも気まずいと思い、何か話題を提供することにした。
「そういえば急だったけど、何か用事とかなかった?休日だし。」
「別に。」
「そ、そっか。私も実は無かったんだ。というか、今日は起きてからショッピングモールに行きたいってことしか頭になくて。……これも座敷わらしの血のせいなのかな。」
「さぁ。」
「……………………。」
空返事の荒井。これはあんまりじゃないかと、口が滑る。
「荒井くん。少しはおしゃべりしてくれてもいいんじゃない。私達、部活仲間でもあるんだよ?」
「それが?何の理由になるの。」
「な、なんのって…。………この際だから言うけど、荒井くんスカシすぎじゃない?達観してればカッコいいって思ってるの?」
やや声を荒げてしまった。少し反省していると、荒井くんが振り向き、私の顔を見る。
「まさか。ガラじゃないからこうしてるだけ。」
「ガラじゃないって…つまりキャラ作りってこと?」
「さぁ。」
それっきり荒井くんは前を向いてしまった。もはや話す気も起きないようだ。私は諦めてエスカレーター横の流れる景色を見る。訪れている客は皆、仲睦まじそうだった。




