16.体育祭③
全ての競技が終わった。その後は、なんと教師陣のリレーがあった。年を召している人もいるのに、無理をして平気なのかという心配は少しあった。
何はともあれ、私は担任である大里先生を応援することにした。
トラックにて気をつけをする先生。スタートの合図を待つ。
そして皆が見守る中、合図が鳴る。その瞬間、大里先生は驚いたのか腰を抜かして尻餅をついた。
「い、いたた…。」
「大里先生ー!しっかりー!」
「先生、頑張れ!」
「頑張ってください!」
生徒の声を聞き、先生は急いで立ち上がる。中々綺麗なフォームだった。とはいっても、数百メートル走で最初の遅れは取り戻しにくい。
何人かは抜かしたものの、先生の順位は真ん中あたりだった。可もなく不可もなく、といったところか。
走り終えた先生に駆け寄る。
「だ、大丈夫ですか。先生。」
「はい。なんとか。ですが、太腿がかなり痛いです。しばらくは湿布生活となりそうです。」
「あははっ。大里せんせー、うんどー不足!」
頭をかきながらも、先生は笑う。結果はまぁまぁだったが、場の空気はとても良かった。
***
教師陣のリレーも終わり、結果発表。とはいっても、やはり結果は3年生が上位を占めることとなった。だが、その中でも女子バレーだけは1年3組が1位をもぎ取っていた。総合1位でなくても、これは快挙だ。
ちなみに私の参加した女子バドミントンは15位。散々な結果だ。恥ずかしいし、悔しかった。
閉会式も終え、教室で着替える。
「はー。折角なら総合1位取りたかった!」
純麗ちゃんは悔しそうに言う。私も同じ気持ちだった。
「そうだね。………来年は、絶対。」
「ね!ぜったい!!」
着替え終えるとそのまま純麗ちゃんは部活動へ行った。体育祭後もあるというのは驚きだったが、本人がやる気に満ち満ちていたので何も言うことはなかった。
用事もない私は教室を出る。下駄箱へ向かい、靴を履き替える。そして校門を出ると、偶然にも荒井くんがいた。
「荒井くん。体育祭、おつかれさま。リレー、見てたよ。」
「ふぅん。そう。」
相変わらず彼はそっけない。だが、その中でも確かに優しさが垣間見えたのだ。
「来年は勝てると良いね。」
「…………さぁ。どうだろうね。不相応だし。」
「またそんなこと言って。……全力でやるのは、楽しいしカッコいいよ。」
「…………だといいね。」
「なんで他人事なの…。」
リレーのときに見た荒井くんは幻覚だったのだろうか。そう思うほど、横にいる彼はいつも通りの無愛想な人だった。




