夜道には気をつけろ。
小説はじめて書きます。小説全然読みません。些細なきっかけで書いてみました。
新参者のチャレンジだと思って暖かく見守ってくれれば幸いです。
「そんな動きで俺に勝てると思ってんのか?」
主人公――オンラインゲーム界隈で名を馳せた廃人ゲーマー、西谷レン(18)は、モニターの前で不敵な笑みを浮かべた。彼のキャラクターは敵の背後に回り込み、素早く銃口を向ける。瞬間、相手のキャラクターが画面上で倒れ込み、頭上に「WIN」の文字が浮かび上がった。
「ざまぁみろ」
レンは画面越しに囁いた。彼にとって、死体撃ちや煽り行為はもはや日常茶飯事。何度も繰り返してきた外道プレイ。自身の強さに酔いしれ、数多の相手プレイヤーを罵倒してきた。
そう。悪い意味で有名になったプレイヤーだ。
実力は確かだったが、フレンドはいなかった。パーティーを組まずソロで勝ててしまうから気にも留めていないようだ。むしろ罵倒がしやすいまであったのか、味方を入れず戦うのが基本であった。むしろ、敵チームが徒党を組んでリンチを試みることすらあった。だが、レンの腕にはかなわなかった。
「俺に勝とうなんざ千年はえーんだよ。下手くそが束になっても勝ち目ねーよ」
『死んで人生やり直したらワンチャンあるかもな。あはははっはははh』
画面越しの相手だと気が大きくなるのだろうか。それとも、彼の本性なのだろうか。倒した相手に対し、律義に煽りのVCを垂れ流し、コメントでも執拗に煽る粘着っぷり。ゲームで使うアカウントの名前もテキトーな文字列にして、自身のリアルな情報は一切明かさなかった。身バレすれば晒され拡散するのは必至だと理解していたのだろう。卑怯極まりない鬼畜プレイヤーであった。
嫌われ、恨まれ、憎まれて当然の人物である。
だが、ある日のことだった――
いつも通りゲームをしていたレンのパソコンに、突然通知音が鳴り響いた。不機嫌そうにメールを開いたが、内容を見た瞬間、その表情が凍りついた。
「えっ…嘘だろ?」
メールにはゲームのアカウント名、彼の本名、住所、さらには電話番号までもが記載されていた。どのような手口を使い調べ上げたのかはわからないが、情報はすべて正確だった。
そして、メールの一番下にはこう書いてあった。
「いつもゲームでしてきた仕打ちを現実で味わうがいい。」
動揺するレンは、すぐに全てのゲームアカウントを削除しようとしたが、その瞬間、背後から重い音が響いた。誰かがドアを蹴破り、部屋に侵入してきたのだ。
相手がメールの送信者であり、確実に殺しに来ていることを察したレンは、振り返る間もなく椅子から身を投げ回避行動に出た。
ブチッという音とともに、つけていたヘッドフォンが宙を舞った。同時にパソコンの光に照らされ、淡く輝く刃物が視界に入った。間一髪で初撃をかわしたのである。
動揺する黒づくめの男が見える。二撃目が来ることは容易に想像できたが、体制が整わない。恐怖で顔は完全に引きつり、声も出ない。
ゲームで培ってきた反射神経を総動員し、必死に二撃目を避けようとする。
もし、これがゲームの世界であれば、超人的な身体能力で回避できたのだろう。
なんなら、ジャスト回避のアチーブメントものだっただろう。
だが、現実世界の体は言うことを聞かない。限界があると相場が決まっている。
「熱い...」
熱い何かが腹を突き抜けるの感触と同時に、錆びた鉄の匂いが鼻を突いた。
意識が遠のいていく。
霞む視界に映ったのは、赤く染まった鋭利な物体と黒い影だった。
三撃目が来る。頭の中ではわかっているのだ。
避けなければいけない、そう何度も思った。
だが、無慈悲にも、体は言うことを聞かない。
「ゲームオーバー。」
次の瞬間、彼の視界は真っ暗になった。
小説はじめて書きます。小説全然読みません。些細なきっかけで書いてみました。
新参者のチャレンジだと思って暖かく見守ってくれれば幸いです。