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バッドエンドの向こう側  作者: 白い黒猫
愛花の世界
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今日を振り返って

 私は視線をキョロキョロさせながら佐藤周子さんの後ろを歩く。怪しい人どころ辺りには私と佐藤周子さん以外は見当たらない。そこに少しホッとする。

 むしろ私が怪しい人とも言うべきかもしれない。


 後を歩いていると、佐藤周子さんの鞄からキラリと光る何かが落ちた。

 しかしその事に気づかす佐藤周子さんはそのまま歩いていってしまう。

 落とし物に近づき拾うとお笑いイベントのロゴのキーホルダーだった。


 ここで殺されるような怖い目にあった事のある佐藤周子さんに、走って近づくと驚かせてしまうのではないか? そんな変なことを考えてしまって躊躇ってしまった。私はキーホルダーを握りしめたままどうするべきが悩む。


 結局声をかける事も出来ず、そのまま尾行を続けるしかなかった。


 佐藤周子さんはそのまま武道館ある方の公園で出口から出て、その先にあるビルの会社に立ち寄り事務所へと戻っていった。今日は通り魔に遭遇しなかったようでホッとする。



 夜は有楽町で友達と待ち合わせして、オシャレな感じのレストランで誕生日祝いをして、電車でFacebookに投稿してマンションに帰っていった。

 一日尾行してみたが、意外とバレないものである。変にコソコソする必要もなかったのかもしれない。


 家に帰るのも面倒なので、ファミレスに入り、ドリンクバーの安っぽいジュースを飲みながら一人悩む。テーブルの上には返しそびれたキーホルダー。

 私が色々調べた所、ループしている世界では誰もが全く同じ一日を過ごしている。全く同じように電車は遅れるし、台風の風は同じように物を吹き飛ばしていく。

 それなのに何故佐藤周子さんには、予定外のアクシデントが起きるのか? 


 佐藤周子さんにはこのループ現象を壊す何かがあるのか? 


 しかし二度程死んでも、世界は何も変わってないようにも感じる。実際ネットに流れている情報になんの変化もない。


 アレコレ考えている内に零時を超えて自分の部屋に戻っていた。

 この現象の唯一便利なところは、遠出をしても無理に帰る必要がないこと。


 お腹がタプタプになるほどドリンクバーで水分とった筈なのに、時間が朝に戻ったら喉がカラカラになっている。私は冷蔵庫を開け、麦茶のポットを出し飲む。


 激しい雨と風が窓を叩いている音を聞きながら私は考える。

 どうするべきが? 

 視線を部屋に巡らせると、今日ある予定の面接試験を受けるためのリクルートスーツが壁にかかっている。


 私は大きく深呼吸をして覚悟を決めた。

私はモヤモヤした気持ちを抱えながら今日という日を終えた。今日も尾行して佐藤周子さんに声をかけるよう!

 私は出来る限り自然な形で接触し対話できるように脳内でシミレーションをする。

 午前中いっぱいは、どう話しかけるか、何の話をするのかをシミュレーションしてから外に飛び出した。


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