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バッドエンドの向こう側  作者: 白い黒猫
愛花の世界

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13/14

愛の刻

 私は後ろ手で縛られた状態で床に座らされていた。目の前には大きなベッドがあり、そこでナナシが周子お姉様を組み敷き襲っている。


 同意がある訳もないレイプ。私と同じように腕を縛られた状態で見知らぬ男に無理やり抱かれていた周子お姉様は抵抗しながら泣いている。

 ナナシがいとも簡単に柊子お姉様の心も身体も剥き出しにしていく。

 私は『お願いやめて!』と叫ぶがそれで止める男ではない。悔しくて涙を流し見ていることしか出来なかった。


 しばらくすると様子が変わってくる。ナナシの行為に周子お姉様は拒絶ではない反応を返すようになる。

 私は性的経験がそうあるわけではない。付き合っていた彼氏があまりセックスが上手くなかったこともあったののだろう。セックスも気持ち良いと思ったこともなく、実は好きではない。

 セックスの快楽が心も身体も蕩けさせ人を溺れさせるほど凄まじく素敵なモノというのはファンタジーな空想上の出来事とすら思っていた。

 だから本等で読むことで、そう言った興奮を楽しんできただけ。


 それだけに、目の前で身体を快感で震わせ、声を上げ啼いている周子お姉様の姿は衝撃だった。色っぽく染まっていく周子お姉様の様子は、私の心と身体を火照らせていく。今まで読んだどんな本の世界よりも私を高揚させていく。

 艶かしく揺れる胸、甘い声をあげる濡れた唇、潤んだ瞳。私は思わず唾を飲み込む。淫美な女の顔となっている周子お姉様の姿があまりにも美しく目が離せない。体をモゾモゾと動かしながら、目の前の光景を見入ってしまう。


 身体をのけぞらせ周子お姉様が果て、気を失ったことで、ナナシがベッドから離れた。

 思い出したように私の方にチラリと視線を向けてきた。


「なんだ、すげえ物欲しそうな顔してんな。

 良かったら、お前も味わってみるか?」

 ニヤリと笑い私を無理やり立たせて、ベッドに乱暴に放り投げる。

 すぐ近くに全裸の周子お姉様がいる。腕が使えないので、私は這いずり、惹き寄せられるように周子お姉様に近づいていく。汗に濡れた周子お姉様の身体の熱と香りが、私の心蕩けさせ酔わせ理性を奪う。

 白いお腹に顔をのせ頬擦りをして唇をつけてキスをする。そうしていると物凄くドキドキして、気持ちもより高揚していく。

 視線を移動させた先には、豊かな胸の山がある。

 私はそちらに惹きつけられるように不自由な身体を動かした。目の前にある大きな胸。赤ん坊が母親に甘えるように唇で愛した。

 周子お姉様は意識を取り戻したようで、私を驚いたような顔で見つめてくる。

 お姉様が私の方を見てくれたことに強い悦びを感じ、心が震える。

「周子お姉様、大好き……」

 私は微笑み、愛を伝えてから周子お姉様にキスをした。


 周子お姉様を、思う存分愛するという幸せすぎる時間を過ごせた。

 腕は縛られたままなので、口だけで一生懸命奉仕するだけだったが興奮した。

 身体は疲れたけれど満たされた時間。愛し合うってこんなに愉しく幸せな事だと私は生まれて初めて知った。

 その余韻に浸っていたら、ビールを飲んでいたナナシが私に笑いかけてくる。

 飲んでいたビールを私にも飲ませてくれた。喉が渇いていたから、堪らなくおいしい。

「愛花ちゃんは、本当に周子ちゃんが好きだったんだな」

 そう言いながらベッドに座ってくる。手を伸ばし私の頭を優しく撫でてきた。

「はい。大好きです」

 私は媚びるようにナナシに擦り寄る。

「願いです。周子お姉様の側にいる事は、許可して下さい。

 私をお姉様から引き離さないで」

 ナナシは優しく笑い頷く。

「ああ、いいだろう。

 その代わり俺が周子ちゃんと過ごしたくなった時、誘導に協力してくれ。

 良い仕事をしたら、また今日みたいな周子ちゃんとの愉しい時間を与えてやる」

 ナナシの言葉が嬉しくて、私は首を縦に激しく振る。

「ありがとうございます! 喜んで手伝わせて頂きます!」

 もう逆らう必要もないので、暴力に怯えることもない。

 私は甘えるようにナナシの体に顔を寄せた。ナナシはペットなんかを撫でるように私を撫でてくれた。その手の優しさに、私は穏やかな気持ちになり目を閉じた。


 周子お姉様と愛し合った日を境に、ナナシは私に恐怖ではなく、恵みを与える存在となった。

 私は普段の日は、あの公園で周子お姉様との時間を愉しんだり、本屋で一人の妄想時間を楽しむ。

 女性同士の愛についてもいっぱい勉強をした。友達を使い、試しで練習してみたりもして努力した。

 周子お姉様に悦んで頂けるように。


 ナナシが周子お姉様を求める日には前もって連絡してくるので、私はスムーズに拉致できるよう準備して待機するようになった。

 公園ではなく、出勤時の周子お姉様を狙うようになり、より長い時間を『愛の刻』を楽しめるようになった。

 私の働き次第で、周子お姉様をどのようにどのくらい愛せるのか決まる。だから私は連絡が来たら必死に頑張った

 制約も制限もなく全身全霊かけて周子お姉様を愛する為に。


 ナナシが何者なのか? それは未だに分からない。

 本名も知らない。一年後の世界からやってきた男なのか? 一年後の世界の事を知るだけなのか? 何も教えてくれないし、聞いてもニヤニヤした笑みを返されるだけ。

 しかし前よりずっと平和な関係を築けるようになったと思う。

 ナナシが、本当に私に対して性的な関心が全くないことも良かった。

 周子お姉様を愛しているのなら、私なんかに何にも感じないのも当然かもしれない。だから私はナナシを警戒する必要は無い。

 周子お姉様が私だけのモノではない事は少し辛いけど、ナナシはお姉様を私が最高にドキドキさせる表情を引き出してくれるから我慢するしかない。

 またナナシのお陰で、私は周子お姉様と本当の意味で愛し合う時間を得ることができる。


 あの日私の人生を変えた十一番目の贈り物。それは【愛】というのは本当だったようだ。

 私はこの世界において、人生で最も愛する存在を得ることができ、その相手と崇高で最高に美しい愛の世界を作り上げられている。


 朝起きて朝食を食べながらメールをチェックする。今日もナナシからの連絡もない事にガッカリする。

 私一人では周子お姉様は拐えないから。

 今日は短い穏やかな時間を楽しむしかない。

 ならば思いっきりオシャレをして周子お姉様に会いに行こう。そしてあの優しい笑顔の周子お姉様に抱きしめてもらう。


 私はその為に、まず体を清めることにする。

 シャワーを浴びながら、今日はどんな設定の可哀想な女の子を演じようか考える事を楽しんだ。


~~END~~~最後まで読んで下さりありがとうございます。

この後1時間後にあとがきとして簡単なこの物語とシリーズの、説明させたものをオマケとして掲載させて頂きます。

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