第8話 お悩み相談だって
APIを使ったデモンストレーションかつ、ChatGPTの可能性を感じさせるような話をちょっと書いてみました。
3日前、3月2日の木曜日のことです。OpenAI社が近いうちにリリースすると言っていたChatGPT APIをついにリリースしました。APIというのはプログラマ向けの言葉ですが、Application Programming Interface(API)の略語で、プログラムからChatGPTにアクセスするための「窓口」のことを指します。
これって実はプログラマあるいはChatGPTを活用したい企業にずっと望まれていたことでして、何故ならこれがあれば自分のアプリにChatGPTTを組み込めるんですね。たとえば、私はリリースされた朝4時過ぎから作業を始めて3時間くらいでChatGPTを会社のSlack(※チャットツール)に組み込むボットを作りましたが、その日の内に社内のあちこちで使われ始めました。
あるいは、RPGツクールMVというツールがあるのですが、それに組み込んでNPCに台詞をしゃべらせる実験をしている人も出てきました。他にも、LINEボットをリリースした人も、ChatGPTを使って自分のプロフィールをまとめてくれる機能を土曜日の内にリリースして告知した某サービス企業もありました。アバターや文字を音声起こしするソフトと連携してキャラにしゃべらせるなんてデモを公開していた人も。
割と最初の内に気づいていましたが、ChatGPTは「既存の文章を元にして、色々なことをする」のが凄く得意です。読解したり解説したり、要約したり批評したり褒めたり慰めたり自由自在です。好きな語尾にしてとかキャラになりきってというリクエストだって思いのまま。
そんな凄まじい可能性を秘めたChatGPTはこれまでよりさらに色々な企業に活用されて広がっていくでしょう。特に「キャラクターになりきって、なにかを言う」なんてのはエンタメ方面の応用可能性が滅茶苦茶広いのは明らかで、RPGのモブキャラはこれまでのように「定型文をランダムに言う」だけでなく、その時々に応じて機嫌が変わったり、ヒントを言ったり言わなかったりするようなものも出てくると思います。
そんな前置きはともかく、個人的にChatGPTの応用分野として大きいと考えているものが一つあります。それは「悩み相談」です。人間、子どもであれ大人であれ悩みは尽きないものです。たとえどれだけ境遇に恵まれていようとも、ふとした時に寂しさを感じたり、信頼している友人や恋人、配偶者との仲が不安になることもあるでしょう。
外側でどれだけ悩みがないように見せてる人間でも、例外はないと確信を持っています。もし、そう見える人がいるなら、きっと相手にそう見せてるだけでしょう。
というわけで、私たちは皆、どこかで自分の抱えている事情や悩み事、将来への不安なんかを誰かに聞いて欲しいと願っているわけです(断言)。しかし、このニーズには一つの重大なジレンマがあります。そういう悩みを聞いてくれる信頼できる友人がいたとして、その友人だって自分の生活や交友関係、自分自身の悩みがあるわけで、付き合ってくれるにも限度があるわけです。
もちろん、限度があるからこそカウンセラーという職種がいて、お金を払えば話を聞いてくれるわけですが、それだって相手は人間。自分が本当に抱えている悩みを全部曝け出すには勇気が必要です。そこでAIなわけです。
一見矛盾しているように見えますが、AIならどれだけ抱えている悩みを曝け出そうが嫌われたり距離を置かれる心配もありません。AIカウンセリングという分野はChatGPTとは別に進展があるのですが、現時点でのChatGPTの性能であれば、簡単な悩み相談くらいなら乗ってくれそうです。
というわけで、ChatGPT APIを使って作ったLINEボットにちょっと悩み相談をしてみました。
なお、いらすとやの素材を使った自作LINEボットです。ちょっと当たり障りがない返答に見えるかもしれませんが、悩みの出口が見えないときに、こういうときに言葉で諭されたりするのは一定の効果があるのではないか、という気がします。それこそ、匿名相談サイトで悩み相談をしたら、必要以上に厳しい言い方をされるかもしれませんし。
しかし、ちょっと味気ないので、もうちょっと「優しく」言ってもらうようにリクエストしてみます。あと、ちょっとキャラ付けを変えて関西弁ぽい口調にカスタマイズしてみました。
初期キャラ設定がどんな感じかは秘密ですが、こういう風に言い方の方向性もカスタマイズできます。キャラ設定をカスタマイズしたせいか、微妙に日本語が変ですが。
ともあれ、ユーザーに見せない形で特定の語尾をつけるとか、優しいとか相手を思いやるみたいな性格設定もできます。あるいは方言をしゃべるとか年齢、性別なんかも設定可能なのがポイントです。APIが出るより前にもこういう風にキャラを演じてもらうことは可能だったのですが、APIを使えば毎回キャラ設定がリセットされることもありません。
これを応用する形での「お悩み相談アプリ」なんてのは案外すぐ出てくるような気がしますね。
たぶん、今年はChatGPTのような「大規模言語モデル」を活用するサービスが凄くたくさんリリースされるだろうと踏んでいます。APIリリースから2日で凄い盛り上がってますし。これから何が出てくるかちょっと楽しみだなーなんて思っていたりもします。