第1話 ChatGPTの概要と最初の対話ログ
ChatGPTにハマり過ぎて、エッセイを書いてみたくなりました。不定期更新(といいつつ、こちらはネタがいっぱいあるので案外更新しまくるかも)ですが、よろしくお願いします。
はじめましての方ははじめまして。普段から読んでくださっている方はいつもありがとうございます。久野でございます。普段は主に幼馴染ものラブコメ(ばっかり)書いている変人ネット小説家です。
さて、そんな私ですが本業は技術者あるいは研究者(こっちはあくまで昔取った杵柄といったところですが)だったりします。特に最近はAIに関するR&D(Research & Development)をしています。
私が今、もっとも注目しているテクノロジーはというと、今回のタイトルにもなったChatGPTです。Twitterだけでなく、様々なメディアでニュースになっているので既に知っている読者の方も多いかもしれません。
ChatGPT。2022年11月末にOpenAI社がリリースした、自然言語による対話を得意とするチャットロボットです。ちなみに、OpenAI社はイーロン・マスク氏などが出資をしてできた、AIに関する非営利法人ですね。
チャットロボットというと、若干古い世代は「人口無能」を思い浮かべるでしょう。あるいは、最近だとAIによる自動応答のサービスも増えているので、そういったイメージを抱いている方もいるでしょう。
ただ、これまでのチャットロボットは、少なくとも現在実用化されているものは、特定の製品サポートなどに特化したもので、それですらも応答がいささか拙い部分も多いです。
ChatGPTがこれほどまでに(といっても日本語圏よりも英語圏での注目度が圧倒的に高いですが)多数の人の注目を集めているのはいくつか理由があります。
①流暢な応答と(分野によるけど)適切な回答
これまでのチャットロボットサービスによる応答は、それこそ「ロボット」的なぎこちないものが多かったものでした。しかし、ChatGPTの応答はとても「自然」です。たとえば次のように。
また、流暢なだけでなく、この例だと防寒対策としては結構無難なところを挙げてくれていますね。防風シールドはさすがに対策として過剰かと思いますが……。
②多言語対応
実はChatGPTは英語の方が遥かに得意なのですが、ともあれ日本語でも英語でも中国語でも、インターネット上に学習データがある自然言語なら色々扱えます。英語で質問をして日本語で回答をもらったり、日本語で質問して英語で回答をもらうなんてこともできます。
③特定分野における異常なまでの性能
既に、プログラマー界隈ではChatGPTの高性能さが知れ渡っています。プログラムの書き始めは本当にChatGPTに質問をしてちょっと手直したものがそのまま動いてしまうレベルです。他にも、プログラムの変換なんかもかなり高精度でできます。一技術者として言うと、ある分野に限れば人間の「頭の良さ」を遥かに凌駕しているとさえ思います。
④翻訳や文章添削など、日常で利用する実用的なタスクも得意
実際、既に英語文献を書いている人がChatGPTに英語を添削してもらっているなんて光景も目撃しています。日本語の文章添削もそれなりにこなせるようです。
⑤なんで実現できたのかさっぱりわからない謎の機能の数々
たとえば、ChatGPTの意味不明な応用例として「あなたはLinuxターミナルです」という風に命令すると、「本当に」ChatGPTがLinuxターミナルの動作を摸倣してしまうのです。しかも、コマンドも(ある程度という留保つきですが)動作します。
こんな、本当にやばい性能を持ったチャットロボットですから既に大量の悪用事例も出てきています。たとえば、学校の宿題なんかも小学校中学校レベルだと結構解けてしまうものも多いので、そういう宿題やレポート作成に使う人も出てきています。そのせいで、ニューヨーク市は生徒や教育者がChatGPTにアクセスすることを禁止する、という決定までくだしています。具体的には、教育関係者の端末からChatGPTへのアクセスをブロックする措置をとったそうな。
また、ChatGPTは「さも本当のような顔をしてさらっと嘘をつく」こともある点に注意が必要です。たとえば、以下はSAOについて質問したものですが、さらっと主人公が「カズマ」だと言っていますね。ChatGPTは対話型なので、質問者が回答のミスについて疑問を差し挟むと訂正を試みてくれるのですが、それで主人公の名前は正しくなったものの今度は「アインクラッド」についての間違いが入ってしまっています。
このように、ChatGPTは「特定分野の知識」、とりわけ、マイナーな分野についての知識は間違っていることも結構多いので、それを持ってChatGPTを「大したことがない」と言う人もちょくちょく見かけます。ただ、私見を言わせてもらうなら、それは「クイズ王的な知識」あるいは「雑学知識」で知性を測るようなミスであり、あまり適切な評価だとは思えません。
雑学王は雑学王に過ぎないのであって、丸暗記が得意とは言えるかもしれませんが、これは知性とはまた別の話ということですね。実際、凄く頭のいい、それこそ世界的な研究者でも世間的な知識に疎いことはよくありますが、それをもって人の頭の良さを測るのは適切だとも思えませんしね。
また、そのような知識の間違いはより正しい学習データを与えることで正されることが増えるでしょうし、あくまで「現時点での」問題点に過ぎないとも言えます。
ともあれ、このエッセイではChatGPTに秘められた可能性や、筆者が舌を巻いた回答例などをもとに、ChatGPTをどう活かせばいいのか、あるいはどのような点に注意すればいいのか触れていければと思います。
次に続く!