ロリに愛し愛された男、エルフに抜かれる
ワイドたちを見送るとやることがなくなったことに気づいた。
「なにしよ。な?ん?どした?」
三人がいなくなるのを確認してウルフと蜥蜴が擦り寄ってきた。
「クゥーン」
「ギャウッギャウッ」
「怖かったって?そうか?普通の優しい青年だったぞ。なんでロリばっか召喚されるかは謎だけど」
戦力増強も終わったので、オークたちが集めた木材を使って彼らの家を作る。
蜥蜴はうちに勝手にいればいいので、小さな小屋をつくった。
ワイドたちの家は隣につくった。
ロリはロリ同士で固めるべきか迷ったが、追々仲良くなるはずだから、放置しておこう。
見回りをするのに、いつの間にか護衛がついていた。
ウルフと蜥蜴だ。
種族名だけを言うのはあれだったので二匹に名前をつけることにした。
「ウルフはそうだな……ロード。蜥蜴は……ドラゴンになるそうだしエルヴィスにしよう。名前に負けないくらい強くなってくれよ?」
「ウォンッ!」
「ギャウッ!」
二匹のいい返事を聞けたので、散歩をすることにした。
伐採はいい感じに進んでいて、いつの間にか運搬用の道がつくられていた。
オークたちは木を運搬すると、枝を剣で斬っていた。
「ちょっといいか?」
仕事中のオークに話しかけると、手を止めてこちらに近寄ってきた。
「剣ってやりづらくない?」
「フ、フモゥ!」
焦りを見せるオーク。
「いやいや、怒ってる訳じゃなくて大変そうだなって思って。短剣とかどう?使ってみて?」
短剣を新たに召喚してオークに渡すと使い心地を試した。
すると、剣よりもすばやく、そして正確に枝を落とすことに成功していた。
「どう?」
「フモゥ!」
「そうだろう?やっぱ短剣の方がいいだろ?」
ノアは短剣を30本ほど召喚して半分をオークたちに渡した。
「残りは探索組に渡しておいてくれ」
「フモゥ!」
「あと、ここに椅子並べとくから、休憩するのに使ってくれ。地べたに座ると汚れるだろ?そういうのも気を配るようになってくれ」
「フモゥ」
オークたちに頑張るようにエールをおくって、次の現場に向かった。
そこはゴブリンを討伐した跡地。
戦闘で荒れた地を整えて使いやすく整備しているのだ。
ここではユウトが指揮をとっている。
地ならしをしているゴブリンに話しかけると、ユウトがいる場所を案内してくれた。
そのゴブリンにお礼を言ってユウトを呼んでもらった。
来たのはラウラだったが、指揮をとっているものだったら誰でもよかった。
「ノア様、なんでしょうか?」
「探索はどうなってる?」
「そうですね……いくつか集落を見つけたのですが、どこも衛生面が悪く、近付きたくないですね」
「そうか。他には気になったことはあるか?」
「強いて言うなら、集落に囚われていたエルフがいたことですかね?」
「へぇー、エルフなんているんだ。それで?」
「どうやら、心が壊れてるらしく、反応が薄いようです」
「ふーん。じゃあうちに連れ帰ってとりあえず看病しておくか」
ノアはなんでもないようにそう言うと、ラウラはきょとんとしてしまった。
「ラウラは俺があまりにも感情的にならなかったことに驚いたか?」
「はい……なのです」
「どうもこの世界に来てからは感情の起伏が弱いんだよね。あとは単純に損得で動いてるからかな?」
「損得ですか?」
「あぁ。そのエルフはこの辺りから拐われてきた。エルフを知っているものが助けに来るかもしれない。もし、面倒だからと殺してしまったら、その助けに来た者たちと敵対することになる。ゴブリンたちには運良く勝てたが、エルフの仲間はそれ以上に強いかもしれない。見えない敵を見える前に敵にするのは、怖いもの知らずだ」
「な、なるほどなのです……」
「それに、せっかくこの辺りに住んでいたのなら、地理にも詳しいかもしれない。看病してその情報を得られるなら、安いと思わないか?」
説明し終わると、再びラウラはポカーンとしていた。
「そ、そこまで先を読まれていたのですか?」
「なんとなくな。とりあえず、ラウラとリノンはその人を運んでおいてくれ」
「あ、あのあの」
「どうした?」
「人数はたくさんいるのです……」
「……人員、増やすか」
聞かなければ、わからなかったこともある、と実感したノアだった。