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【コミカライズ】ひとりぼっちの異世界放浪 ~コミュ障青年はコボルトだけをお供に旅をする~  作者: 長尾隆生@放逐貴族・ひとりぼっち等7月発売!!
第二章 海辺の町(仮題)

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【閑話】魔人戦争 後編

 魔王同様勇者たちに関する記録は少ない。


 人種の連合軍が連戦連敗を重ね、一度は奪って支配していた元の魔族種の地を奪い取られ、さらに逆に自らの生存行きまで奪われるまでに至った時に突然彼らは歴史に現れた。


『勇者たち』と言われているのは勇者が一人では無かったからである。

 一説には五人ほど、また別の説では百人もの集団だったとも伝わっているが正確な人数はわからない。


 なぜなら彼ら、彼女らの記録も現在はその殆どが残されていないからである。


 どこから来てどこへ行ったのか。

 恐ろしい強さだったという魔王軍を蹴散らし、魔王をも打ち倒したと言われる勇者たちのその後は一切記録に残ってはいない。


 勇者たちに関しては人々の間に流れるまことしやかな噂がある。

 彼らはどこか別の世界から近習である召喚術によって呼ばれ、魔王討伐を成した後元の世界へ帰って行ったのではないかというものだ。


 荒唐無稽な戯れ言だと当時を知る者たちは言う。

 だが、そんな彼らも勇者のことを何も知らない。

 いや、一応知ってはいるようなのだが、その言質はバラバラで統一していないのだ。


 ある男は勇者たちは屈強で無精髭を生やした男の集まりだったと言い、ある老将軍は彼らの見た目はまるで子供のようだったと言う。

 またある傭兵は勇者たちは全員妙齢の女性だったと言い切った。


 これは一体どういうことなのか。


 謎はつきない。


 ただ事実として勇者たちは突然戦場に現れ、そして劣勢だった人種を救い魔王を倒し消えた。

 それだけはたしかである。



* * *



 魔人戦争の後、大陸各地にはその戦いの爪痕が各所に残った。

 魔王が倒され、統率を失った魔族種たちの生き残りは人類種の生活圏で魔素の濃い場所に住み着いた。


 それと同時に激しい戦いのあった場所にはダンジョンと呼ばれる魔素を吐き出す迷宮が現れるようになった。

 この二つは人類種にとっては災いのように思える。


 だがその実危険な境界域の先へ向かわずとも貴重な魔素材を手に入れることが出来る場所にもなった。

 おかげで人種は魔王という存在を生み出す可能性のある境界域の先への侵攻をせずとも良くなったのである。


 しかし長きにわたった戦争は今も人と魔族との間に深い溝を残している。

 いつかその溝は埋まるのだろうか。


 埋まるとしたらそれぞれを代表する魔王と勇者がもう一度現れ、人と魔族がともに歩める道を示す。

 そんなあり得ない未来が必要だろう。


 魔王は倒され勇者は消えた。


 いつしか道を指し示す誰かが現れるまで、人と魔は交わることは無いのだろう。



次回から本編にもどります

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