いまだよ
ただ
呼吸するだけで
きみをすきだとおもう
春とウグイスと胸のふくらみ
わたしはすこし
咳をして笑う
まるで
嵐みたいに わたしたち
街の隅っこのクダリザカを
駆け下りていくの わたしたち
ちいさなウグイスと夢
そして春の奔流に身を任す
さぁ、いまだよ って
わたしたちを風が吹いて
たぶん地下深くから甦る季節は
街へ張り巡らされてく
(そしてそれは、うんとゆっくり……)
きみは道の先を征く
その足跡がすこしわるい
いま
さりげない移ろいに
ただちょっと動く
恋の分子を知って
駆けるきみの背に触れる
すきというなら
いまだよ