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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

無知であること

作者: ちかのにな
掲載日:2019/09/18



「人はね、死んでも生まれ変わるんだって。


 だから僕、生まれ変わってもっとましな人間になって戻ってくる。


 大丈夫、君の事はちゃんと覚えてるから。 じゃあ、またね。」




そう言って彼はいつものように、自転車を立ち漕ぎして帰ってった。

そして次の日から彼の席は空白になり、自転車置き場で交わす会話も亡くなった。

私はあの時わかってたけど、言わなくても大丈夫かと思って言わなかったんだ。




人は生まれ変わったりしないんだよ。


人は一度死んだら、おしまいなんだよ。




たぶん彼は信じなかっただろうと思う。

だけど、一日くらいは長く生きてたかもしれない。

もしかしたら、一週間くらい長く生きてたかもしれない。

だけど言わなかった。

言ったら駄目な気もしてたから。

言ったらそれこそ彼は、目の前が真っ暗になってたかもしれないから。

教室にあった彼の席は亡くなって、私の心に彼の席が出来た。

彼はいつものようにそこに座って、ずっと耳を塞いでいる。

私はいつもみたいに、絶対声をかけない。

毎日毎日、私は彼を無視した。

いつもしてたみたいに。

皆がしてたみたいに。

数年が経ったある日、私は彼に声をかけてみた。




ねえ、



いつになったら


生まれ変わるの?




「もうすぐ。」




ねえ、



いつになったら


新しいあなたに会えるの?




「もうすぐ。」




ねえ、



会えるわけ、


ナイジャン。











その日、私は初めて彼のことを思って泣いた。





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