上の存在
「王城を三周だ。治癒魔法を使えるものは、使いながら走ってもいい。スキルもだ。ただし相手の妨害行為などは、禁止する。妨害行為を行った場合ペナルティとして、さらに5周追加と夕飯抜きだ。ルートには、見張りが立っているサボりもできないぞ。」
アシル団長この王城どれくらい大きいかわかってるのかな?その周りを三周って死ぬよ、俺。
太ってる訳じゃないないけど、俺ずっと運動だめなのに。
まあ、そんなこと思っていてもやらなければいけない。これも強くなるためだ。大翔や誠ならレベルを上げればすぐにでも王国騎士に勝てる力を付けるだろう。しかし、俺はどうだ。ここで頑張らないと、生きていけない。努力が苦手とか言ってられない。自分の身は自分で守れという感じの世界だ。これもせっかくの機会だ努力できるようになろう。
そして、一斉に走り始めた。俺はもちろん一番最後。
地球にいたときよりも体力が上がっている気がする。でも、それはみんなも同じ。しかも、走る速度も上がっている。これでは、周回遅れも免れないな。息が上がって来た。ヒールを使ってみよう。
「はぁ、はぁ、 ヒール 」
身体が楽になった。これなら、少しペースを速めてもいいな。ヒールは、後15回使える。でも、MPがなくなると起こるデメリットを俺は、知らない。少し気分が悪くなるのか。それとも、気絶をするのか。まあ、ここで15回も使うことは、ないだろうがな。とりあえず、今は、走ることに集中しよう。
三周してもヒールのおかげか身体は疲れている感じがしなかった。だが、治癒魔法の使えない魔法使い系の人たちは、息が切れていた。まあ俺が最下位だったが。
それからは、模擬戦ということで木刀を使った訓練となった。
やっぱり異世界ファンタジーと言えば剣だよな。特に片手剣。それを握ってダンジョンに潜り、そのダンジョンを攻略するごろには、その剣が消耗してしまい、また新しい剣へ。なんて展開があるのかな。そもそもダンジョンがあるかもわからないけど。
「まずは、素振り300回それが終わったものは、私と対戦してもらう。それが終わったら、昼食を食べに行ってもいいぞ。ただし、あまり王城をうろつくと迷子になるから注意すること」
アシル団長の指示に従い素振りを行う。
これは、あまり早く終わる人は、少ないだろう。前衛職で筋力と体力が高い人なら早いかもしれないけど。剣道やってたやつとか侍なんて職業持ったな。でも、日本刀なんてあるのか。剣道やってたやつの中には日本刀を詳しく知ってるやつもいるだろう。そいつが、鍛治職の人たちと協力すればできるか。いるかわからないけど。
腕が辛くなったら、ヒールを使うということを繰り返した。
素振りで最下位になることは、なかったが気になることがあった。魔法職や回復職などの後衛職も素振りに参加していることだ。剣を使う職じゃないのに何故だろう?俺もどちらかと言えば後衛職のステータスだと思う。無職だけど。
さて、アシル団長と模擬戦だ。素振り中に観てた限りだと攻撃を受け流す感じで積極的に攻撃はしてこない。やはり、王国騎士団団長ということだろう。そういえば、腕時計の効果試してないな。アシル団長なら試せるかも。でも、あまり力を周囲に見せつけたくないな。もう少し素振り続けるか。
素振りをし続けて、みんながいなくなるのを待った。
さあ、やるぞ。
そう息込んでアシル団長のもとへ行った。
「君は、無職のユースケだったかな。無理は、しなくていいぞ。まあ、何かあるから素振りを多く行い最後になるまで待ち続けたのだろう。」
すごいなこの人。周りよく見ているということか。
「はい、少し試したいことがありまして。アシル団長でしたら試せるかもと思いまして。試してもいいですか?」
「あぁいいだろう。君は、使えるもの使っていかないと生きていけないからな。ただ、王城に向かって魔法を放つのは、やめてほしい。給料減給になるから。」
給料減給の所だけ苦虫噛み潰したような顔していた。
給料減給がそんなに嫌なのだろうか。団長クラスだと結構いいと思うんだけどな。
「わかりました。それじゃあいきますね。」
そういい放つと俺は、腕時計のボタンを押した。一瞬空間がグニャリとねじれたような感じがあったがすぐに戻った。風が止まった。鳥が本当にゆっくりと進んでいる。でも、俺は走っている。アシル団長に真っ直ぐ向かっていく。剣の振り方なんて知らない。だから、アシル団長の身体に一発でもあたるように振る。しかし、アシル団長は当然のことのように、木刀で受け流した。
カチ
時計そんな音がしたため、焦って再度ボタンを押す。押すと同時にアシル団長に蹴りを食らってしまった。自分の身体が派手に飛ばされてしまったことがわかると、腹の辺りから強い痛みが走ってきた。
「模擬戦中に油断するな。戦闘なら致命傷を負うことだってある気をつけろ。まあ、それはいいとして、すごく速く動いてたな。それにパワーもそこそこあった。あれが君の切り札か。その力があればなりぞこないなんて言われないと思うが。鍵は、その腕に着けているアーティファクトだろう。教えてくれと言っても無理だろうから忠告をしておこう。その腕時計は、本当に大事な時に使え、むやみやたらに使うなよ。そんなことしたアーティファクトを欲しがるやつも出てくるかもしれない。お前は、無職だ、そう知られれば余計に武力を使うことが多くなる。それにしてもいいな、女神の贈り物か。大事にするんだぞ。さあ、昼食だ。」
そう言ってアシル団長は、食堂の方に走っていった。
アシル団長女神の贈り物って言わなかったか。まさかアシル団長も上位鑑定を。あり得る、アシル団長のステータス見てみようかな。
「 上位鑑定 」
レジストされました。
え、上位鑑定でも見れないものがあるのか。だとしたらアシル団長はどのくらいのレベルなんだ。今は、その話は置いておこう。アシル団長は、気になることをいっていた。パワーもそこそこあったと、おかしい俺の筋力は、そこまでないはずだ。自分の時間だけ10倍早める。この腕時計の力は、それだけのはずだ。待てよ、ゆっくりと攻撃を食らったらどうなる。あまり痛くならないはずだ。それの逆ということか。素早く振れば剣は威力を増すはずだ。そうかそういうことか。この腕時計は、俊敏性、攻撃力、防御どれにおいても俺のサポートをしてくるれる超万能アイテムだったのか。すごいすごすぎるよ女神様。命を代償にするだけの事はある。
命の代償にするからこそあまり多様できない。逃げるためと言ってこの腕時計を渡してくれたのだ、他のことに使って命を落としたら本末転倒だろ。それに、女神様に顔向けできないからな。
ぐう~
俺も、腹が減ったな。早く昼食を食べに行こう。
鼻歌を歌いながら食堂に向かった。