0.4 日常の断片
≪祐side≫
...ぱんぱん...お..て
...おき ...ぱんぱん
詩ノ乃「おきてー!」パンパン
祐 「...んっあ?」
びっくりした...分けでもないが...
寝ている俺の、顔を幼馴染の詩ノ乃が覗き込む。
詩ノ乃「ほらー早くしないと、お仕事遅刻しちゃうよ?」
祐 「毎日言ってるじゃん...もうちょっと優しく起こしてよ」
詩ノ乃「だって毎回、起きないじゃーん」
家が隣だけあって小さいころから、こう俺の出勤日には毎朝お越しにくるのだ。
俺はもう23歳だ、一人で起きる事だってできる筈なのに、詩ノ乃に甘えてしまう。
ここは一つ、そろそろ自立せねば。
祐 「なぁもうそろそろ起しに来なくたっていいだぜ?」
詩ノ乃「なぁにいってるの、だって私おねーちゃんなんだからさっ!」
おねーちゃんだとさ、
こいつは俺の幼馴染で、自称お姉ちゃんらしい。
実際のところ、俺が4月生まれで、こいつが3月生まれでギリギリ学年違うだけ。
詩ノ乃「それにさ...祐君の彼氏だし...。」
祐 「お前絶対人前で言うなよ!ゲームの中だけ、しかも緊急時!」
詩ノ乃「わ...わかってるよ!冗談冗談!」
まったく頬を赤らめていうな、恥ずかしいなら言わなければいいのに。
こっちまで恥ずかしい。
詩ノ乃 「って!っていうか!相変わらず何も無い部屋だね、ベットの下にエロ本ないの?!」
祐 「おいおい、それ昨日も同じ事いって探してただろう!?」
詩ノ乃 「いやこれもおねーちゃんの務めです!」
こいつ朝から何してんだよ、
俺の宝、エロ本があるのはクローゼットの中だ!
ベットの下を漁る詩ノ乃を無視しながら、出勤をするため部屋をでる。
毎朝出勤する時は、詩ノ乃も一緒。
別に会社が一緒なわけじゃないが、こいつが働いているビルの1階に、俺の働いているコンビニがあるだけ。
帰りもまってくれているわけだから、忠実というか犬ぽい。
詩ノ乃 「あっ聞いてきいて、昨日ゲームしてたんだけどさ!」
祐 「そういえば昨日ログインしてたよな、何かあったのか?」
詩ノ乃 「昨日マジックボックスからね、なんと☆5のアイテムが出たの!」
マジックボックスから☆5!?
マジックボックスといえば、低確率でレア度MAXの☆5のアイテムが排出されるという。
低確率の故に、☆5のアイテムは強力アイテムのみ設定されている。
確かマジックボックスは、レアを除けばクズアイテムしか出ず、低い値で取引さているが...。
詩ノ乃 「しっかりして、意識富んでるよ!?」
祐 「あぁすまんすまん、あまりの凄さに色々考えてた。」
詩ノ乃 「祐は考え事すると、すぐ意識がどっかに言っちゃうから、おねーちゃん心配だよ...。」
へぇへぇすまなかったな、おねーちゃんとやら。
祐 「んで何のアイテムがあったんだ?」
詩ノ乃 「秘密ー!でも見せてあげたいから、今度一緒にでもしようよ?」
祐 「ああ、今度一緒にしような」
詩ノ乃 「やったーえへへ」
俺たちはそんな他愛のない会話をしながら、出勤する。