0.2 たぶん心が穢れてる
≪祐side≫
「はぁ...今日もバイト疲れたー。」
ゲームを起動し、結構な値をした椅子に腰をかける。
バイト・寝る・飯、以外はゲームするのみなので、椅子にはこだわりたい。
ゲーム画面には、俺のアバター『しろん』ちゃんがお出迎えをしてくれている。
銀髪で瞳はピンク、落ち着きのある顔立ちは、男を釣ってきたことを感じさせない、我ながら見事なアバターだ。
コイツのフィギアがあったら絶対買う、間違いなく買う、全国民が買うだろう。
そんなことを思いながら、今日のデイリー報酬やお知らせをチェックする。
っとその数秒後、ギルド【終焉の樹】のチャット板に書き込みが入る。
メンバー1『こんばんわ!』
メンバー2『お仕事だったの?おつかれさまー』
メンバー3『今日もキャリーしてあげるからさ、あとで一緒にクエスト行こうよ』
しろん 『おつかれありがとうー!まだ装備弱いですけどお願いします(*´・д・)』
我ながら人気者だな、まだINしてちょっとだぞ?
釣ってきた男たちが俺を崇拝しているようだ。
そんな慢心に浸っていると、ギルドチャットに新たな書き込みが。
どうやら新しくメンバーが加入しているらしい...。
??? 『しろんさん初めまして!』
しろん『初めまして、新しく入ってくれた人かな?』
アルル『はいっアルルと申します、以後お見知りおきを』
しろん『どうぞよろしくおねがいしますぅ!』
この新しく入って【アルル】って奴、人のこと言えないが、なんとなく痛いな...。
まぁ...ここのギルメンからは、搾り取ったし抜けようと思っていたからな、新しく獲物が来てくれてうれしいよ。
俺はさっそく新しく加入した、【アルル】とやらのプロフィールに目をかける。
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ふむふむ...。
プロフィールを見た感じ、男アバターで課金アイテムを複数身にまとい、ステータスもまぁまぁ高い。
あとで性別はちゃんと確かめるとして...。
「早速唾でも付けときますかぁ~!」
ネカマの行動は早い、きっとF1レーサーよりも。
まずは個人チャットで...
しろん『いきなりすいません...今から一緒にクエストいきませんか?』
アルル『もちろんですとも、でも俺なんかと一緒で大丈夫ですか?』
しろん『アルルさんのほうがステータス高いですし、こちらこそ♪』
アルル『ピンチになったらお守りいたしますよ』
しろん『かっこいい事いわないでくださいwではクエストは、お任します!』
お守りいたしますだとさ...なかなかキザなことをいう野郎だぜ。
このまま貢ぐまで行ってくれれば...。
ということで、今は案外易しい討伐クエストに来ていた。
俺のステータスを見て、アルルが気を使ってくれたのだ。
しろん 『私のレベルに合わせていただいてありがとうございます...少し申し訳ないですが...。』
アルル 『いえ!今日はゆっくりプレイしたかったので、こちらのクエストで満足してますよ?』
しろん 『凄く助かります、このクエスト頑張ります!』
普通なら「きゃ~かっこいい、惚れちゃいそう」となるだろうが、
俺の内心は「難易度高いクエスト発注して、キャリーしてくれよ」とクズっぷりが発揮されていた。
まぁこの日はそんなこんなで、ゆっくりとクエストして終わった。
話すこともないほどに平和。
これが俺と【アルル】の出会いだった。




