王都ファーベル、冒険者ギルドへ
こんばんはこんにちはおはようございます!
雪月花でございます!
近いうちにキャラクター紹介第二段を上げたいと思います!
王都ファーベル、冒険者ギルド『犬の舌』、王都ファーベルに建てられた冒険者を管理派遣する組織。一階は冒険者が自由気ままにくつろぐ事の出来るスペースになっており。賭博等も行われる、酒場や飲食店、割高だが冒険に必要な道具等も金さえあれば揃える事が可能だ。二階は予約制だが寝室が用意されている
「ウォルカー!仕事持って来たわよ!」
そんな『犬の舌』で一組のパーティーは資金難に直面し、仕事を探していた。無論、先程の叫んでいたのはそのパーティーメンバーの一人なのだが
「んあ…?あー…そう言えば頼んでたな。どんなの?」
ソファでだらぁ…っと、スライムの如くくつろいていた、ウォルカと呼ばれた少年は片手を上げながら返事を返した
「そう言えば頼んでたな?…心臓に槍突き立てるわよ?」
「あ、ごめん、ラリサ!全面的に私の失態です!」
「はい、はい。漫才はその辺で、止めておいてね?」
ピンク色の背中まで伸ばしたポニーテイルを揺らしながら怒りで顔を赤く染めるラリサと呼ばれた少女にその怒りの原因である黒い髪の少年、ウォルカ。そして、止めに入る黄緑色ロングのエルフの女性
「漫才じゃ無いわよ!、此奴の性格と記憶力の修正をした方が良いと思うのだけど…!」
「記憶力はいい方なんだけどなぁ…あ、何でもないですっ」
「はぁ…えーっと、…最近発生している冒険者狩りの犯人の逮捕か討伐、ね」
ため息を吐くとエルフの女性…アナンは少女の手から紙を取り読み上げる
「確かに報酬の良いけど、これは結構厄介な依頼よ?そもそも、Bランク冒険者が四人が一人も帰還してないし…」
「そ、それはそうだけど…報酬もいいしそれに…」
「同じ冒険者の被害をこれ以上出したくないんだろ?」
ピンク髪の少女、ラリサの言葉を引き継ぐようにウォルカが続ける
「ぅ…変な所、察しが良いわよね。ホントに…」
「そう言うと思ったわ。出来ればAからSランクのメンバーが数人欲しいわね」
「ああ、今回ばかりは4人じゃヤバそうだ」
「…契約続行?」
「うぉ!?いきなり出てくるんじゃない!」
ソファーに座っているウォルカーの下から突然現れるフード付きマントを深く被る少女
「継続費、もらう」
「お、おう。よろしく…?」
「ん…」
「…」「…」「…」
「「「どっから出て来たの!?よ?!」」」
今日も『犬の舌』では元気な冒険者達が声を揃えて叫ぶのだった
…
…
…
「結構遠いんだな…」
「えぇ…ほら、街の隣が魔王城っと言うのも、あれだし…ね?」
「そう言い問題なのか…」
「・・・」
冷汗を垂らしながらそっぽを向くルインに思わず笑いそうになるのを堪える。現在、俺達はファーベルに向かう為に馬車に揺られている。車輪が地面を転がる振動は余り心地良くないのが残念だ
「…なんだか失礼な事考えなかった?」
「いや、変装魔法を忘れるとは思わなくてな。俺はそもそも使えないから強くは言えないが」
「ぐふぅ…!こ、心が痛いわ…」
数時間前、出発の準備を終えて門をくぐろうとした時に問題は発覚した、最近城の外に出なかった為なのか、ルインが変装魔法を忘れると言う事態が発生。結局、ニルヴァがルインを散々弄り倒し掛けて貰っていたのだが…
「ぅぅ…ニルヴァのばかぁ。ぐすん、これでも一応王よ?主様よ?扱いが酷すぎるわ…」
「…知らんがな」
「シオンまで私の事をいじめる!?」
びぇ~ん!と文字が浮かびそうなぐらい情緒不安定なルインの頭を軽く小突きながら苦笑いする
「次からは忘れないようにな?…魔王がふらっと現れたら誰だって騒ぐ」
「うぅ…がんばりゅ」
「…頑張ってくれ」
…大丈夫なのだろうか、うちの城は
程なく大きな城壁が姿を現す、東西南北に大門が用意されており、最近の事件の影響で検問が行われているらしい。なんでも上から見るとひし形らしい、見た事は無いがな
「悪いね、にーちゃん達どうやら検問みたいだ。入るまでにかなり時間がかかるぞこれは」
「構わない、こんな騒ぎの中。此方こそ済まない」
「いいって事よ。こっちも商売があっがたりでな…全く帝国の野郎ども何を考えてるか分からないよ」
気前のいいおじいさんと会話をしながら、検問に目を向ける。数十人の冒険者達が一台づつ馬車を丁寧に調査しているようだ。腰や背中には武器を仕舞っている。いつでも戦えると言った所か
「やっぱり、かなり厳重ね。『旅の途中で立ち寄った』この設定でいいかしら?」
「構わない、荷物の検査をされても黒桜の扱いに何か言われるぐらいだろう」
小声で話しかけて来るルインに頷きながら、黒桜に視線を落とす。頼むから静かにしてくれよ?
『何じゃ?妾が何か問題かのう?』
(いや、お前に難癖が付けられそうで面倒だと思っただけだ。武器を無闇に抜くなってぐらいならいいのだが)
「ん、俺達の番だ。にーちゃん、荷物の準備しておいてくれよ!」
「あぁ、わかった。ルイン、荷物をこっちに」
「はい、問題は起こさないでね?」
「起こしたら道連れだ」
「酷くない?!」
馬車の扉が開けられ、数人の男達が顔を覗かせる。俺を見ては『申し訳ない、荷物をこちらに。後、ファーベルに立ち寄った理由と名前を聞かせて欲しい』と告げられた
「俺はシオン。こっちはルインだ」
「シオンさんにルインさん、ここに来た理由は?」
「旅の途中でな、食料等の買い揃えだ」
「旅?これは驚いた、アンタ相当腕が立つんだな。ああ、武器は見せなくて構わない。旅をしているなら持っていても問題なからな…ただ、アンタ…祝福は持ってないんだろ?」
「ああ、持っていない。機兵からは隠れてやり過ごしている」
「ほぉ、それでも相当だな。どうだ?冒険者にならないか?なれば祝福が貰えるし、旅に役立つはずだ」
「考えておく」
『そうか!その時は冒険者ギルドに行くといい。手厚く面倒を見てくれるはずだ!』と言って、冒険者のおっさんは扉を閉めて次の作業に移って行った。難無く検問を行い、門をくぐる馬車、代金を少し多めにおじさんに手渡しお礼を言って別れる
「さてっと、ギルドは北側の街の中心よ。何か必要なものがあったら言って頂戴」
「生活用品ぐらい、か?」
「じゃ、用事が済んだら買いに行きましょ」
くすりと微笑みながら歩き出すルインの後に付いて行く。様々な店や露店を眺めながら脚を進める。『この先、北街の区域』と書かれた門を潜ると目の前に、綺麗な噴水が現れた、その隣に設置されている大きな掲示板の前でピンク髪の少女と黒髪の少年が言い争っているのを脇見にギルドへの階段を昇って行く
「ここが冒険者ギルドよ、大きいでしょ?」
「あぁ…思っていたよりかなりな。何個かの施設がくっ付いているのか?」
「えぇ、正直ある程度の武器や防具、薬や道具は全部ここで揃うわ。一部の冒険者は刀匠の所に武器を注文するらしいけど…私も詳しくは分からないのよね」
『さ、入りましょ?』と言われ大人しく付いて行く、割と大きな木製の扉を開けば巨大なカウンターの前人だかりが出来ており、的確に捌いていく受付人の姿が見える。相当の数の冒険者だ、かなり賑わっている
「えっと、こっちよ」
ルインに引っ張られながら人の少ないカウンターの前に行く、受付人がルインの姿を見れば奥に引っ込み
銀色の髪が目立つエルフの女性が現れた
「お待ちしておりました、長は二階のいつもの部屋に居ると思います」
「いつもの部屋ね、わかったわ。ありがと、ルー」
「…そちらの方は?」
ルインとの会話を終えたルーと呼ばれた女性が目を細めながら俺を見る、何かを探るような目線に後ずさりしかけるが堪える事に成功
「あ、私の護衛よ。怪しい人物じゃないから大丈夫よ?」
「そうですか、私は此処の管理人、ルーと申します。ルインとは幼馴染でして」
「護衛のシオンだ、よろしく頼む」
幼馴染?と言う事は…協力者なのだろうか?
「はい、よろしくお願いいたします。…ルインの事、頼みますね?」
「ああ」
何故か小声でそう言われては此方も小さく頷いて見せた、その後、カウンターの奥に通され階段を上がる
「何か言われたの?」
「いや、お前を頼むと言われただけだが?」
「…色々な意味が含まれていそうね」
「魔法をしっかり覚えられるように俺も練習に付き合おうか?」
「…大声で泣いていいかしら?」
「すまない、それは勘弁してくれ」
涙目で言われ、焦りながら慌てて謝ると少し拗ねながらそっぽを向いてしまった。成る程、ニルヴァが嵌る理由を理解した瞬間だった
「此処がその部屋よ。多分寝ているから蹴破る勢いで入るのがいつもね」
「…それでいいのかギルド」
「行くわよ…?」
「いや、待て。そんな騒ぎを起こす様な事をしなくても」
静止の呼び掛けも虚しく扉から少し離れたルインは助走を付けて勢いよく跳び蹴りをかます
「ニルヴァ直伝!変態滅べ!滅殺脚!」
凄まじい音を立てながら吹き飛ぶように開く扉に呆然となる、そして何よりも。足が見えなかったぞ?!と言うより飛び蹴りではない!回し蹴りだぞ!作者!?
「作者?」
「いや。何でもない、聞かなかった事にしてくれ」
そんなやり取りをルインとしていると、酒瓶と書類と本でぐちゃぐちゃになった部屋が姿を現す。これが仕事部屋なのか?ゴミ部屋の間違いだろう…
「…腐海の森?」
「あ、良いわね、その言い方」
そう言いながら遠慮なく部屋に足を踏み入れるルインに続く、臭いがしないのが非常に不思議だが、有機物は持ち込まれていないのだろうか?…腐臭がしないという意味だ。アルコールの匂いはかなりしている
「いっぅ…ルイン、もう少し静かに出来ないのかな?」
「あら?起きてたの?明日は槍が降るのかしら…」
「美人な女性にならないかい?」
長髪の男性が崩れた本の中からごそごそと現れる。顔はやつれ元気が無いと言うよりも生気を感じられない顔だ
「重要な話があるの、よく聞いてくれるかしら?」
「…帝国関係なら、他所に行ってくれ。こっちも破裂寸前でね」
「あら?帝国の恐らく隊長格の情報よ?」
「…戦ったのか?」
ルインの発した言葉に反応すると緩んだ雰囲気が消え、ピリッと張り詰めた雰囲気に変わる。表情も先程よりも引き締まっているようだ
「えぇ、危うく殺されるところだったけど…ね」
「そうか…まずは無事な事を喜ぼう。そちらの方は護衛かな?」
「えぇ、撃退したのは彼よ」
「君が?…それなりの実力のようだね。僕はアーロン、ギルド長またはギルドマスターと言われているよ。よろしくね?」
「護衛のシオンだ。よろしく頼む」
うんうん、と笑いながら頷くアーロンに短く自己紹介を終える。陽気な雰囲気を出してはいるが、恐らく裏表が激しいタイプだろう、所謂たぬきだ
「さて、本題に移ろう。詳しく頼むよ?」
「分かってるわ。あ、ちゃんと記録取りなさいよ?」
楽しめたでしょうか?
今後とも楽しみにしていてください!